自民党の18歳選挙権啓発パンフレット「国に届け」が残念すぎると話題！

自民党が5月17日に発表した、若年層に投票を呼びかけるパンフレット「国に届け」の漫画「軽いノリじゃダメですか？」が残念すぎるとネットで話題です。

まず、この「国に届け」というタイトル…。完全に実写映画化もした人気少女漫画「君に届け」のパクリです。

では残念すぎると話題となっている内容へと移りましょう。

まず内容以前の話なのですが、はじめにつっこみたいのが、「左開きのパンフレットに縦書きの右開き漫画は読みにくすぎる！」。内容を漫画にするなら右開きにするべきだったのではないでしょうか。内容以前に読みにくい！というのが、第一に残念感をかもしだす原因といえます。

そして、肝心の内容はというと、主人公である女子高生の安田アスカが、好意を寄せるイケメン生徒会長の朝倉くんが、参院選挙について話していたことをきっかけに政治に関心を抱き、朝倉くんと仲良くなるために一緒に選挙に行くというストーリー。
一見、学園物で、ドジッ子女子と今流行りのドS男子の恋愛風なので、王道な少女漫画のように見えますが、ネット上ではこの漫画をめぐり、賛否両論が飛び交いました。

まず、「女性蔑視」と非難されてしまった理由のひとつとして、終始主人公である女子高生のアスカがとにかく無知なのです。

選挙について知らない女子高生に対し、男の子は二人とも政治に関心があるような描写から、そのような批判の声があがってしまいました。
「女性蔑視」という声のほかに、「若者たちを馬鹿にしてる」「一体何を目的にして、どの層に向けて描かれたのか全くわからない」などの批判の声があがっています。
しかし一方で、「選挙に全く興味の無い子たちはこんなもんだと思う」「興味を引くにはちょうど良い」などの声もあがりました。

私はこの漫画を読んで、「女性蔑視」とまでは思いませんでしたが、とにかく違和感を感じました。
その問題のシーンがこちら。

この会話に対してのアスカの反応はというと

まさしく、な反応です。私でも「なんなんだこの二人は！」という反応になるでしょう。
しかしこの漫画では、政治に関心があって頭いい！すごい！私は何もわかんないよ〜！という意味でのこのアスカの反応でしょうが、「このまま人口が減っていくと経済にも影響が…」という発言に対して、高校生が「僕たちも何かしなきゃね」という返答がとにかく違和感。まさかの高校生が子作り宣言？！とびっくり仰天です。この言わせてる感に、違和感しか感じません…。

また、私は漫画が好きなのですが、この漫画を読んでいて、面白いとどうしても思えませんでした。というのも、少女漫画の定番は、男の子にキュンとしてしまうシーンだと思うのです。今流行りのドS男子をイメージしたのかもしれませんが、このドS男子を意識したかのような朝倉くんの発言がただただキツイ、そっけないといった感じで、もっとも重要なキュンとしてしまうシーンがないのです。といいますか、おそらくそのキュンを意識したシーンはあるにはあります。それがこちら。

いやいや、朝倉くん別人になっちゃったよ！これでキュンとすると思っているなら、漫画ファンなめるなよ！自民党！と言いたいです。
また、この朝倉くんの発言「若者たちが政治に参加したらもっと未来が明るくなるかもな」なのですが、おそらく、これが伝えたいことかと思うのです。ですが、この発言に対する根拠もない！
この漫画を読んで、18歳が選挙に参加することでよくなることが全くと言っていいほど見えないのです。（気になる男の子がはじめて優しく微笑んでくれた、が18歳が選挙に参加することでよくなることなのでしょうか…）
辛口にいうならば、これを読んで選挙に行こうと思う18歳がいるとは思えないのです。

漫画で成功していると言えば、進研ゼミというイメージです。（私もあの漫画が届けばよく読んでいました。）この漫画から、進研ゼミの成功例を意識した匂いがプンプンすると感じたのは、おそらく私だけではないでしょう。
おバカな女の子と知的な男の子という登場人物の構成、選挙について自分なりに調べてみる（進研ゼミで勉強する）、投票にいって男の子といい感じに（成績アップで男の子といい感じに）。びっくりするほど完全に一致。
進研ゼミの真似をしなくても、たとえば、政治が生活に直結していると実感する生活の中でのエピソードがあって、そこから政治に関心をもって、今まで興味はなかったけど選挙にいってみよう、みたいな単純なわかりやすいストーリーだったら選挙に行こうとなるのでは？と思ってしまいました。

パンフレットの目的について自民党は、「18歳、19歳を中心とした若者層に、政治自体に興味を持ってもらうこと」とコメントしていますが、漫画で若者の気をひこうとするのは安直すぎたと言えるでしょう。しかし、賛否両論ということで話題になっているため、そういった意味では成功しているといえるのかもしれません。