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早稲田大学、児童養護施設出身者をサポートする奨学金制度を新設

早稲田大学は4月27日、2017年度より児童養護施設出身者をサポートする予約型奨学金を新設することを発表しました。

極めて経済的に困窮している受験生を対象とした奨学金制度

早稲田大学では、経済困窮者への奨学金として「めざせ!都の西北奨学金」をはじめとする様々な奨学金制度があります。これらは、入学後に奨学金が支給される制度です。しかし、早稲田大学への進学希望者の中には、入学金等初年度納入金を納めることが困難な極めて経済的に困窮している受験生もおり、入学前に支給する奨学金もしくは経済支援制度が整っていないことから、経済的理由で進学を断念するケースもあったといいます。こうした状況から早稲田大学は、極めて経済的に困窮している同校への進学希望者を対象とした奨学金制度を新設しました。

奨学金の概要は…

奨学金の対象者は、奨学金出願時に児童養護施設に入所している満20歳未満の児童で、早稲田大学を第一志望とする学部進学希望者。奨学生の入学検定料、入学した場合の入学金、授業料、実験実習料等、その他諸経費が全額免除となり、月額9万円が正規の修業年限内(つまり4年間)まで給付されます。(ただし外部機関等から経済支援を受けている場合は、その額に応じて月額を減額することもあります。)
奨学生の採用候補者が入学試験に合格しなかった場合や合格しても入学しなかった場合は、採用候補者の権利が喪失しますが、応募は連続して2年度(回)まで可能です。(つまり1浪まではOKということになります。)
入学後は定期的に、奨学生、出身施設職員、大学担当者の三者間で会合をし、大学生活での支障の有無等を確認するほか、自立した経済形成支援の一環として月額5万円程度のスチューデントジョブに従事することになります。

様々な奨学金制度

早稲田はこの児童養護施設出身者をサポートする奨学金以外にも、「めざせ!都の西北奨学金」の支給額を2017年度入学者から、これまでの年額40万円×4年から半期学費相当額を納入額から免除するように変更しました。この免除額を増額した理由も、「めざせ!都の西北奨学金」は首都圏以外の高校出身者を対象としていましたが、首都圏以外の地域から進学する者への経済支援として年額40万円×4年は必ずしも十分ではなかったと考えているためです。

熊本地震の学費免除も

熊本地震で被災した在校生に対しても、学費等の減免制度を用意しています。4月15日現在、対象地域は熊本県の24の市や郡だが、今後の災害救助法適用地域の適用範囲に応じて、変更となる場合があるといいます。
また2016年度9月入学者を対象とした入学検定料免除、入学金・学費等減免制度は、熊本県の災害救助法適用地域以外にも、平成27年台風第21号等に係る被害地域である沖縄県八重山郡与那国町も対象地域だ。

奨学金制度の充実で広がる間口

これら奨学金制度の充実により、奨学生や受験生の経済負担は大幅に軽減されるしょう。在校生の場合は安心して学生生活が送れるというのももちろんですが、今回の児童養護施設出身者への奨学金制度は特に、経済的という理不尽な理由がなくなり、子供たちの将来の可能性が広がる素晴らしい制度だと思いました。
しかし、世帯収入の低い家庭の子どもほど学力テストの正答率が低いというデータが、全国学力テストの結果の分析からわかっています。そうなると、大学進学以前の貧困格差によって、学力差がついてしまっているともいえます。大学進学希望に至る以前に、貧困の連鎖の中から抜け出せない状況になってしまっているという可能性も否定できません。大学進学希望の学生への大学による支援の充実度は素晴らしいものですが、大学進学希望に至るまでの貧困格差は深刻なものといえるのかもしれません。

平原友梨香

平原友梨香TheVote.jpコラムニスト

投稿者プロフィール

政治に関して勉強中の初心者のライター。政治や経済のちょっとした疑問などを、ゆる〜い記事でアップしていきます。

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