選挙と政治にフォーカスした深掘りウェブニュースメディア「TheVote.jp」、ジャッグジャパン株式会社提供免責事項お問い合わせ・情報提供

斜め上をいく近年の自治体PRまとめ

地方自治体における過激なおふざけ高度なPR合戦は、ある種の風物詩になった感もあるところだ。今回は歴代の自治体PRを振り返り、いま一度、各自の「地方創生」が描く未来に思いを馳せてみたい。

2011年:「うどん県。それだけじゃない香川県」

副知事より「うどん県」改名のお知らせ動画

副知事より「うどん県」改名のお知らせ動画

2011年10月、日本中に衝撃が走った話題といえば、「香川県は『うどん県』に改名いたしました」※というニュースだろう。俳優の要潤はうどん県の副知事となり、大々的なPRを行った。キャンペーンサイトには下記の注意書きが。

・2011 Udon prefecture.
・このWebは一部フィクションです。
・うどん県への改名はありません。けれど、香川県がうどんを愛するうどん県であることは本当です。
・このコンテンツ内の写真、動画データは全て香川県に属します。

この「うどん県」に端を発した香川県のPRキャンペーンは、さらに「愛にきてうどん県」というコピーも新たに登場し、現在も継続中。

2012年:「おしい!広島県」

うどん県スタートからちょうど半年後に広島県から発せられた自虐的メッセージがこちら。『「おしい」は「おいしい」の一歩手前』が合言葉であった。
120612-2

2013年:「サイレントヒル県」

霧と灰の街

霧と灰の街

2013年4月1日、静岡県は「サイレントヒル県」に改名したと発表※した。「静=サイレント、岡=ヒル」という。元も子もないギャグ由来ではあるが、静岡県はなぜこのタイミングで?……なんとこの騒動は、同年7月公開の『サイレントヒル:リベレーション3D』を控えた宣伝広告の一環であった。

2015年:「山口国」

山口国が日本国から独立

山口国が日本国から独立

2015年4月1日、山口県はついに日本を脱することとなった。山口県を名乗るツイッターは、同時に日本国民へ下記内容を通達。現在、該当ツイートは消されている。

完全に独立した山口国は日本国内からの移動へはパスポートが必須となりますのでご注意ください

2016年:「しゅうニャン市」

http://shunyanshi.com/
2016年4月1日、昨年につづいて山口県が砲を放つ。今回は「周南市」。

2016年:「ヤドン800匹にご注意下さい」

ヤドンの集団脱走で、香川県が無人島で長年にわたり極秘プロジェクトを進めていたことが明らかになった。

2016年4月1日、香川県が新たに公表した真実は、「香川県ヤドン研究センター」の存在だった。逃げ出した800匹はいずれも無事に居場所が確認されたという。

2016年:「今日から新年度だけど・・それ、都会じゃなきゃだめ?」

同じく2016年4月1日から始まった、徳島県の「vs 東京」キャンペーンは、上記に挙げたいずれのPR事業と比較しても、尚過激といってよいだろう。公式サイトでは、このネーミングの意図を下記のように説明している。

この「vs 東京」というコンセプトが意味するものは、単に東京に喧嘩を売る、ということではありません。 地方都市のプロモーション活動が活性化している中、各県の特徴が微差になってしまい、徳島県が後発としてプロモーションを行っても難しい状況にあります。他の都道府県のプロモーション合戦に埋もれる事なく、クレバーに、そしてインパクトのある共通コンセプトを持って徳島県を打ち出して行く、それが「vs 東京」に込められた思いです。

2016年:「忠義心NO.1宣言」

通称石田三成プロジェクト。詳しくはTheVote.jpにある当該記事を参照されたし。

インターネットミームの可能性を地方はまだ知らない?

ここまで約5年間での、地方自治体発「おふざけ」系PR事業をまとめた。2016年現在からひととおり振り返って、大変驚いたことは多くのキャンペーンで現在「サイトが残ってない」「当該ツイートが残っていない」という事実である(2016年エイプリルフールネタですら、4月4日現在で残っていなかった)。なぜ、一夜限りで、多くのサイトがNOT FOUNDと化し(Googleは未だにそのサイトを検索結果の上位に表示させている)、たくさんのRTが寄せられたツイートを削除してしまうのだろうか?炎上が怖かったり、多少の気恥ずかしさがあったり、はたまた管理コストの問題だろうか?本当に、その日限りでしか燃え上がらない話題なのだろうか?ネットニュースで見た人、口コミで知った人……翌日、翌々日にも需要はあるはずで、そういった「長期間に渡る、確実な需要」はインターネット社会に特徴的な「ロングテール」と評され、ゆくゆくは「一つの文化(インターネットミーム)」として受け入れられていくことも多いのに……と筆者は非常に残念に思う。
その点では、PR事業の先陣を切り今でも絶賛稼働中のドメイン「udon-ken.my-kagawa.jp」は特筆するに値するかもしれない。秀逸なアイディア・デザインに満ちたPRの数々が、決して一夜限りの打ち上げ花火で終わらないことを願うばかりだ。

記事内、「※」付きのURLは「Web魚拓」参照。

宇田川 藍

宇田川 藍ジャッグジャパン株式会社

投稿者プロフィール

1989年生まれ。幼いころ体験したユビキタス技術に興味をもち、大学では空間情報学を専攻(青山学院大学総合文化政策学部)。地理情報システム(GIS)を用いたエリアマーケティングの手法やオープンデータの利活用を、大手企業から政治の分野にまで幅広く提案している。
アート、ハイテク、街歩きが好き。

次の記事もおすすめ

ヘッドライン

メールマガジン配信中

アクセスランキング(24時間)

編集部のおすすめ

ページ上部へ戻る