4/19 「公民連携ってそもそも会議」イベントレポート
- 2016/4/20
- 特集記事
※当日のプログラム内容は、イベント公式サイトから引用します
第一幕「公民連携ってそもそも?」
【登壇者:岡崎正信×馬場正尊】公民連携とは、公(自治体など)と民(民間企業など)が智恵を出し合い、より良い公共サービスを提供するための手法のこと。なぜ今公民連携が必要なのか?従来の方法と何が違う?公民連携ってどうやればいいの?など、公民連携の「そもそも」部分を、オガールプロジェクトを手がけた岡崎さんに伺っていきます。
「前半は、成功したPPPを語ろう!」ということで、岩手県紫波町(JR東北本線紫波中央駅前)で行われた地域活性化事業「オガールプロジェクト」を担当した岡崎さんに話を伺うプログラムでした。元々この土地は10haを超す広大な町有地でありながら10年近く放っておかれていたとのこと。それを年に80万人もが訪れるという活気ある場所へと見事に再生させたのが、オガールプロジェクト。施設自体は「オガール」と呼ばれています。
そもそもPPPとは、なんでしょうか?PPPとは「パブリック・プライベート・パートナーシップ」の略称で、「公民連携のスキーム」そのものを指す表現です。また、これら公共・民間のセクターを往来する(コーディネートする)立場の岡崎さんらは、自らを「エージェント」と名乗っていました。岡崎さんの話の内容は主に「公と民が歩み寄っていくプロセス」についての具体例が多く、「民間が公共へ話を持っていくと、”こう言い返される(ダメ出しされる)”」といった、「公民連携エージェントあるある」の鉄板ネタで会場が盛り上がる一幕も。主催の方によればどうやらこの日のイベント参加者には公務員の方が多かったようです。筆者からすると意外でした。
下記、筆者のメモから引用。
・(岡崎さん)行政にプロジェクトチームの話をすると「ロマンスグレーが必要!」と言われた。チーム内での軋轢を生まないための、長老役のような存在が必要だと言われること多し。
・(岡崎さん)「オガールプラザ」のメインは「図書館(町立情報交流館)」であるが、そもそも図書館事業自体が大きな利益を生み出すわけではない(むしろ利用されるほど運営の人件費などは膨らむ傾向にある)。グランドデザインの中で「図書館」というキャラ立ちをしているが、その実「商業エリア」「物販」といった収益性のある事業が隣に寄り添っていることがなによりも重要
・(岡崎さん)「町立施設と同居したい企業は?」と募集をかけるのではなく、「図書館と同居したい企業は?」と声をかけるだけで、多くの企業さんから手を挙げてもらえた。これは、企業にとっては「図書館=集客施設」と捉えているから市場を実感しやすいのではないかと思われる
・(岡崎さん)元々行政から貰った代表取締役の話は「5年契約」だったが、人間は往々にして怠けたがる生き物。こちらより条件を練り直し、更新タームは短く、かつ報酬についても段階的に(事業の成功を見届けながら)上げていく案を提示した。ちなみに、前職よりも下がる条件でスタートしたとのこと。
・(岡崎さん)エージェントの仕事とは、「地方都市に『企業』を持ってくること」である。どこから持ってきたのかといえば、日本青年会議所(JC)から!一見地味なJCであるが、「地域」という単位で見ると活躍してる起業家や名士が自然と集まってくる組織になっているので、コミュニティとしてとても有用。
・(岡崎さん)「買ってください」とこちらから営業するのは乞食そのものだ。「買いたくなる」ように仕向けるのがスマートなやり方。
・(岡崎さん)紫波町の「紫波町公民連携基本計画」は、行政の担当者も「民間の知恵を決して潰さないように」という細心の注意を払って作成することが出来た。これら計画を、あくまでも民間の肌感覚(収益性をシビアに予測した上で)で作ることが必要なのだと思う
第二幕「公民連携事業を斬る!–食える公民連携・食えない公民連携」
【パネラー:清水義次、岡崎正信、木下斉、竹内昌義、宮本恭嗣 コーディネーター:馬場正尊】公民連携事業と一口に言っても、その実態は様々。公と民が、「連携すればいいんでしょ?」とだけ思っていませんか?事例とともに、公共空間活用のための方法としての公民連携に迫ります。
第二幕は、「第一幕の成功事例はひとまず忘れて、現実の日本は上手くいってない事業も多いじゃないか!失敗を見つめよう!」という主旨に沿ったパネルディスカッション。第二幕は登壇者も多く、美味しいお酒(この日はチケットにビールやハイボールなど1ドリンクがついた)も杯が進み、正直バラエティ番組のようなノリになってしまったなという筆者の感もありましたが、終始和やかなムードで公民連携にまつわる面白い話が沢山聞けました。
下記、筆者のメモから引用。
・某地方都市駅前の「再開発高層マンション事業」の失敗例。一等地の権利切り売りは地権者を増やすだけ。しかも、相続税対策などで不動産を買っていく層は実際に居住しないし、地域の活性化に寄与しない権利者がただ増えただけ、という惨状をもたらした
・我々市民も納税者として、「税収につながっているのか?」という視点で行政の開発事業を注視していく必要があるのでは?見せかけの公共性に騙されてはいないだろうか
・国債や地方債に依存する財政状況はすでに悪なんだ、という大前提を共有する必要があるのでは
・貸借対照表(BS)をきちんとつくらないから、負債が見えてこない
・「行政が取り仕切ってるように見せかけて、民間が事業を推し進めている」という関係をつくれ
・こちら側が妥協することで、向こうも一歩引いてくれる可能性が広がる。歩み寄るための妥協点を見つけるのも公民連携エージェントのひとつの役割だ
筆者末筆
さて、元々学生時代にはSC事業・リノベーション・都市再開発といった箱モノへ究極のロマンを感じ、ひたすらに「(再)開発フェチ」だった筆者にとっては公民連携事業機構が掲げる「稼ぐインフラの実現」というコピーは垂涎ものである。とくにバブル景気の崩壊以降、「行政のやる箱モノはだめだ」と一言で糾弾される論調も多くある。が、やはり「魅力的なハコ」「魅力的なコンテンツ」「そして集客力」は、地域のブランド化において無視できないコアな要素の一つではないかと思う。今は、指定管理者制度によって民間の知恵と共存している施設も多くある。筆者が学生時代に訪問した、金沢21世紀美術館や、十和田市現代美術館といった、その都市の街並みにさえ影響をおよぼす「ハコ」との出会いは、そういった思いを一層強めた。
話はプログラム内容に戻るが、「公民は水と油である」というバイアスも(各々の置かれている状況によっては間違ってはいないのだが)、当事者間で出来るかぎり取り除いていく努力が必要だと思う。双方の目的意識の共有、信頼関係の構築、そして歩み寄りといったプロセスをきちんと踏めていきながら、プロジェクトが検討されているかどうかが長い目で見て非常に重要ではないか、と感じた。おそらくは本当にミニマムな、担当者1人1人同士の信頼関係の積み重ねを通じて、最後に大きな果実を得られるのだと思う。
今後も、民間ならではの「生存戦略ノウハウ」を活用した、公共性があって魅力的なハコ、コンテンツ、そして利用者との出会いに期待をしていきたい。
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