日本の治安はどうなっている?犯罪統計を読み解く
- 2016/5/13
- 指標ウォッチ
警察庁は12日、「犯罪統計資料(平成28年1~4月分)」を公表しました。今回は、この最新資料を深く読み込み、現在の日本の治安について考えてみます。
犯罪の種類
警察庁(2016)「犯罪統計資料(平成28年1~4月分)」
統計表では複数のカテゴリで平成24~28年の「各年1~4月」分がグラフ化されています。それぞれ、「認知件数」「検挙件数」「検挙人員」「うち少年*1」の数を経年で比較することが出来ます。今回は、その中から6つのグラフを読み解いていきます。
(*1 14歳以上20歳未満の者)
1.刑法犯総数
刑法(犯罪における成立要件や処罰を規定した法律)の中にあるとされた犯罪の総数です。認知件数が下がっており、検挙件数・検挙人員が横ばいであることから、「1~4月の犯罪の数は減っており、検挙率は多少改善された可能性がある」と推測することが出来ます。ただし、諸般の事情により被害届の出されていない(認知件数にヒットしない)、犯罪も多くあることを、忘れてはなりません。
2.凶悪犯
凶悪犯とは、警察白書によれば「殺人、強盗、放火、強姦」が挙げられます。認知件数はここ3年間で200件ずつ下がっており、検挙件数も目減りしています。しかし検挙人員は増加し、少年の数は3年ぶりに200人を超えました。このことから、「グループによる反抗が多少増えた可能性がある」と推測することができます。
3.粗暴犯
粗暴犯とは、警察白書によれば「暴行、傷害、脅迫、恐喝、凶器準備集合」が挙げられます。認知件数はゆるやかに減っていますが、検挙件数と検挙人員は増えています。また、少年の数は平成24年に比べると60%程度に減少しています。「検挙率が向上、少年による粗暴犯は減っている」と推測することができます。
4.窃盗犯
窃盗犯とは、警察白書によれば「窃盗」が挙げられます。認知件数が大きく減っています。とはいえ20万弱ですから、刑法犯総数でみると認知件数のうち70%が窃盗によるものとい言えます。数が減っていたとしても、それだけ身近で、気をつけるべき犯罪であるということが分かります。検挙件数、検挙人数は横ばいですが、少年の数は平成24年に比べ半分程度となっており、「子どもたちの盗みが減っている」と推測することができます。
5.知能犯
知能犯とは、警察白書によれば「詐欺、横領(占有離脱物横領を除く)、偽造、涜職、背任」が挙げられます。いわゆる「オレオレ詐欺」など高齢者を騙してお金をせしめる事件もこれにあたり、他の犯罪種類とくらべて、唯一年ごとに認知件数が増えていることが特徴的です。特に検挙件数は平成27年に比べると3割ほど増加しています。それに合わせて検挙人員も増加。少年の数が少ないことから、「詐欺をはたらく犯人は大人が多い」と推測することができます。
6.風俗犯
風俗犯とは、警察白書によれば「賭博、猥褻」が挙げられます。昨今スポーツ界を騒がせている違法カジノ、賭博問題はここにカウントされるでしょう。風俗犯は認知件数が減っており、検挙件数や検挙人員が増えていることから、検挙率も向上していると推測することができます。ところが、少年の数は増えており、賭博や猥褻といった犯罪の低年齢化が危惧されます。
まとめ
このように、一口に「犯罪」や「治安」と言っても、一律で増減しているわけではないことが分かります。特に、知能犯の認知件数の増加と、風俗犯の少年の数の増加は、無視できない近年の傾向だと言えるでしょう。
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