出産の高齢化ってホント?どのくらい変わってきたの?
- 2016/3/14
- 指標ウォッチ
「出産の高齢化」や「晩婚化」などこれらのキーワードをニュースで見ない日はないと言っても過言ではありません。ところが、その出産年齢が「どのくらい」変わってきたかをあなたはご存じですか?
東京都福祉保健局公表の「人口動態統計」では、母親の年齢(5歳刻みごと)と出生数が集計されています。ただし初産年齢の統計ではありません。今回は1960年から2014年のデータをグラフにして、年齢の変化を追っていきます。
※グラフ画像クリックで拡大します。
グラフを見ると、時代を経て確かに出産時の年齢が変わってきていることが分かります。
出産年齢のボリュームゾーンは20代から30代へと変化
1960年には全出生のうち70%超は30歳未満の母によるものでした。ところが2014年になると、30歳未満の母が占める割合は25%へと減り、30~39歳が65%へと増大しています(1960年は25%)。近年は、この30代が出産年齢の最大ボリュームゾーンとなりました。
50年間、年ごとの変化を見る
20代から30代へ、いわば「出産トレンド」となる年齢が変化したことは、日本の女性のライフサイクルが大きく変化した歴史とも重なるでしょう。
1960年代・1970年代は「出生の70%以上が30歳未満の母によるもの」という状態で安定しています。1970年代前半には「第二次ベビーブーム」が起こり、終戦直後に生まれた世代らがいよいよ新しい家庭を築きはじめた時期でもあります。まさに「マイホームには子供2人の4人家族」という構成の家庭が一気に増えた時代でした。
1980年代になると様相はかなり変わりはじめ、まず20~24歳の母の割合は15%前後で推移するようになります。一方で女性の大学進学率は1980年に入り30%前後で安定するようになりました。女性にとっての20~24歳が、「結婚して第一子を授かる」年代から、「大学で学士を修め、社会人となる」年代へと変化した時代であったともいえます。25~29歳の割合は50%を切ったところから加速度的に少なくなっていき、およそ10年かけて10%ずつ減っていくペースです。反対に30~34歳の割合は30%を超え、増え続ける一方です。
バブル経済崩壊後の1993年あたりから、比較的安定していた20~24歳の割合は目に見えて減り始め、2000年を境に1割を切ります。近年は5%程度となりました。25~29歳の割合は緩やかかつ穏やかに減り続けており、等しい緩やかさで、30~34歳の割合が増えていきます。
2000年以降は、35~39歳の割合の増加も目立ちます。既に全出生の3割近くは30代後半の女性によるものとなりました。合わせて40歳以上の割合が増えていることも見逃せません。今では20~24歳の割合よりも高く、40歳以上の母親は着実に増えています。
このように年々変化の渦中にあるともいえる出生数に対する母親の年齢の割合の変化、これらは年齢の若老だけにとどまらず、社会の変化をも示唆していると言えます。
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