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飲み物が年収を左右する?――「家計調査」から見える所得と飲料支出の関係

寒さも本格的になり、温かい飲みものが手放せない季節が訪れようとしています。
あなたが冬になると飲みたくなる飲みものは何ですか?
例えばコーヒーであれば、「長生きに有効」だとか、一方では「カフェインの過剰摂取が身体を壊す」など、日々様々な調査を元にした言説が話題に上がっています。それほど皆の関心を集める=コーヒーのファンは多い、ということなのかもしれません。

さて、総務省の行う「家計調査」とは、「全国約9千世帯の方々を対象として,家計の収入・支出,貯蓄・負債などを毎月調査」しているものです。その調査頻度(毎月)も、品目の粒度(支出項目は670超)も、非常に細かいものとなっており直近の消費トレンドを見るにはうってつけの統計です。
今回は2014年の調査結果から「第4-2表 年間収入階級別1世帯当たり支出金額,購入数量及び平均価格(注:二人以上の世帯)」を取り上げます。

総務省統計局(2014)「家計調査結果:第4-2表 年間収入階級別1世帯当たり支出金額,購入数量及び平均価格」

総務省統計局(2014)「家計調査結果:第4-2表 年間収入階級別1世帯当たり支出金額,購入数量及び平均価格」(注:二人以上の世帯)

グラフは、緑茶・紅茶・コーヒーの消費量を等しく100とした場合の、年収ごとの愛着度シェア※1を見ています。
(※1「購入頻度×支出金額」で指数化を行いました。この指数を「愛着度(飲む量の大小×良質な素材を求める指向性)」と称しています)

二人以上の世帯を対象にした調査結果では、緑茶→コーヒー→紅茶、と品目が変わるに従い、主となる消費年収層も低→高へと移っていきます。緑茶は、年収300~600万の世帯に最も愛されているようです。800~1000万未満の層ではコーヒーや紅茶に比べ緑茶を好む世帯が減るようですが、1000万以上になっても根強いファンがいると言えそうです。コーヒーは、年収の層に依らず満遍なく好まれていると言えるでしょう。特に年収600~800万の層では3種の中で最もシェアが高く、「オフィスワークの片手間にコーヒーブレイク」といったシーンが思い浮かんできそうです。最後に紅茶ですが、年収1000万以上世帯(調査サンプル中の割合ではわずか1割!)が、全体の35~45%の愛着度シェアを持っているという結果になりました。

もしかしたら…紅茶を飲んでいれば年収が上がる…なんてことがある…かもしれませんね…。

実のところ、年収と支出の関係を見ていくのはそう簡単ではありません※2が、家計調査を見ていくと、このように「気になるお隣さんの生活を垣間見れた気になる」面白い発見のヒントにたくさん出会えると思います。
(※2細かな分析においては、物価や地域の特性などを考慮する必要もあるでしょう。例えば緑茶の茶葉100gとコーヒー豆100g、そして紅茶の茶葉100gの平均物価を見ていくとまた新たな知見が得られるでしょう)

宇田川 藍

宇田川 藍ジャッグジャパン株式会社

投稿者プロフィール

1989年生まれ。幼いころ体験したユビキタス技術に興味をもち、大学では空間情報学を専攻(青山学院大学総合文化政策学部)。地理情報システム(GIS)を用いたエリアマーケティングの手法やオープンデータの利活用を、大手企業から政治の分野にまで幅広く提案している。
アート、ハイテク、街歩きが好き。

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