ジャッグジャパン株式会社は8月03日から10日にかけて、全国の有権者を対象にインターネットによる政党支持・政策志向に関する世論調査を行った。概要は以下の通りである。
【調査対象】民間調査会社のアンケートモニター
【調査方法】インターネット調査
【調査時期】2017年8月03日~8月10日
【回答者数】4485名
【調査対象】18歳以上の全国の男女
【調査機関】ジャッグジャパン株式会社
回答者の分布は地域別には表1、職業別としては表2、男女年齢別には表3の通りである。本調査はモニター構成比が地域的・職業別・年齢別・年齢別に実際の人口構成比に近くなるように設定している。
政党支持率: 都民ファースト、共産が元民進支持者の受け皿に
まず、最初に各政党に対する支持率を比較してみよう。下記グラフ1(※ 各グラフ・画像はクリックで拡大表示可能)は、都民ファーストの会が国政に進出すると仮定した場合の回答者全体の各政党に対する支持率、グラフ2は同じ想定を置いた場合に次の衆議院総選挙に対して必ず投票する、どちらかといえば投票すると回答した者(以下、投票に行く可能性が高い層と呼ぶ)における各政党に対する支持率を表したものである。
自民党の支持率が最も高いものの、都民ファーストの会が回答者全体では7.8%(投票に行く可能性が高い層では9.1%)であるのに対し、野党第一党の民進党は現在の野党第二党である日本共産党にも抜かれ、4.5%(投票に行く可能性が高い層では5.7%)と低くなっている。ネット調査である本調査は、大手マスコミによる電話調査に比べて公明党の支持率が低く日本維新の会の支持率が高めに出ている傾向がみられるものの、野党第一党の支持率がこれだけ低いのは、衝撃的である。これは蓮舫代表の辞任表明や細野元代表代行の離党など同党が相変わらず混乱している中で、本調査においては国政において都民ファーストという新しい選択肢が入ったことで、都民ファーストの会が同党支持者の受け皿になったことが示唆されよう。都議選の結果と同様に、非自民支持者の受け皿が保守的な有権者は都民ファーストの会へリベラル・左派的な有権者は日本共産党へ移行していることが読み取れる。
各党支持者の政策志向: 保守vsリベラルの政策対立軸が鮮明、さらに中道層に都民ファーストが食い込む
政党支持率に続いて、各党支持者の政策志向を見てみよう。基本的に、特定の支持政党を持つ有権者の大多数が投票に行く可能性が高い層であったこともあり、以下の結果は投票に行く可能性が高い層の政策志向を平均スコア化したものである。
上記表4の質問に対して、それぞれ表5ように
回答者が答えたものに対して、それぞれ上から5,4,3,2,1と点数化したものを政党ごとに支持者の平均スコアをまとめ、レーダーチャートで下記ように示した。
これを詳しく見ていくと、第一に、全体の傾向と無党派層の政策志向が極めて近いことがわかる。全体としてわからない(どちらでもない)を示す「3」に各質問項目委の回答平均値が近いものの、景気回復があまり実感できない一方で、国会議員の定数削減には賛成する傾向が強く、脱原発にもやや肯定的な傾向があることがわかる。
次に与野党第一党の支持者の政策傾向を比べてみよう。平均的な自民党支持者は全体に比べて、
(1)防衛・歴史認識に関してタカ派的傾向、(2)個人の権利より治安を重視する傾向、(3)脱原発には積極的でない、(4)経済的な競争力の向上に熱心、という点で乖離している。全体的に保守的傾向といえよう。一方で、平均的な民進党支持者は全体に比べて、(1)防衛・歴史認識に関してハト派的傾向、(2)治安より個人の権利を重視する傾向、(3)脱原発に熱心、(4)格差の是正にやや熱心、(5)「野党共闘」の推進に熱心、という点で乖離している。全体としてリベラルな傾向にあるといえる。
第三に、自由民主党・日本維新の会の支持者の政策志向は近く、野党4党(民進・共産・自由・社民)の政策志向は近いことがわかり、実際の各党の対立法案への賛否が示すように保守対リベラルの対立構図が存在している。
さらに、公明党・都民ファーストの会の支持者の政策志向は全体または無党派層に近く、正に中道傾向にあることがわかるが、脱原発および野党共闘の推進に関しては両党の支持者間で差がある。公明が与党傾向、都ファが野党傾向と解釈できよう。各党支持者の政策傾向は、保守(自民・維新)、リベラル(民進・共産・自由・社民)、中道(公明・都ファ)に分かれる。
では、有権者全体や無党派層の平均に政策をあわせれば支持が拡大するのかという疑問が生じよう。無党派層は回答者全体の45%、投票に行く層でも35%近くを占めるが、回答結果からは多くの政策分野でこだわりが強くないことがわかる。しかしながら、脱原発問題など国民の関心が高くかつイエスかノーかはっきりさせるべき分野では、中途半端な態度はイメージ悪化につながる。小泉元首相が郵政民営化を争点化して自民党が衆議院選挙で大勝したように、政治家や政党が明確な対立軸を提示し世論を誘導することが支持の拡大につながるケースもある。特に野党にとっては、与党は賛成できないが有権者の多数にとっては利益につながるような(ように見せられる)政策を提示することが有益だといえよう。
野党共闘に対する有権者の評価: 「どちらともいえない」が多数の上で賛否が拮抗
最後に民進党の代表選においても争点の一つになっている野党共闘の推進であるが、これは次期衆議院選挙の結果を占う上でも非常に重要なファクターの一つになっているのでもう少し細かく見ていこう。
共同通信が8月3,4日に実施した世論調査では民進党が今後の国政選挙で共産党などとの共闘を「続けた方がよい」は35.9%。「よいと思わない」は53.9%となっているが、本調査の結果はそれと異なっている。これは共同通信の世論調査ではおそらく回答が二択かそれに近いものであるに対して本調査では5択になっていることが主な要因であると考えられる。
グラフ9は、投票に行く可能性が高い層を対象にして民進党の支持者・都民ファーストの会の支持者、無党派層、与党支持者も含めた回答者全体の野党共闘に対する回答の分布を示したものである。都民ファーストの会の支持者、無党派層、回答者全体それぞれで「どちらともいえない」が回答率が最も高くなっているものの、野党共闘に賛成またはやや賛成と答えた者の割合は反対またはやや反対と答えた者の割合をそれぞれ45.6%対24.5%、26.7%対26.2%、32.2%対33.4%となっている。この結果からは、投票に行く層全体の野党共闘に対する現時点での評価は、「どちらともいえない」が多数の上で「賛否が拮抗している」というのが正しいといえるだろう。
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