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仙台市議選の選挙カー不許可問題、一体何があったのか

7月24日告示の仙台市議会議員選挙において、社民党公認で立候補した新人の猪股由美氏(37)が使用を申請した選挙カーについて、公職選挙法施行令の規定には適合していたにも関わらず、管轄の宮城県警が誤って25日までの2日間、不許可としていたことを宮城県警は発表した。県警は後に陣営に謝罪し、許可を出したという。

宮城県警の捜査2課によると、猪股候補の陣営関係者は、選挙告示前の23日と翌24日にかけて、所轄となる仙台南警察署で乗用車各1台を選挙カーとして申請した。この際、同署は当該乗用車が規定の重量を上回っているとして、不許可とした。しかしながら、公職選挙法施行令は重量と乗車定員の両方が上回っていなければ使用できると定めており、乗車定員に問題はなかった。

ここで問題になったのは、公職選挙法施行令第109条の3だ。

第109条の3 法第141条第6項に規定する政令で定める乗用の自動車は、次の各号に掲げる選挙の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 町村の議会の議員又は長の選挙以外の選挙 次に掲げるもの
イ 乗車定員10人以下の乗用自動車でロ又はハに該当するもの以外のもの(二輪自動車(側車付のものを含む。次項において同じ。)以外の自動車については、上面、側面又は後面の全部又は一部が構造上開放されているもの及び上面の全部又は一部が構造上開閉できるものを除く。)
ロ 乗車定員4人以上10人以下の小型自動車(上面、側面又は後面の全部又は一部が構造上開放されているもの及び上面の全部又は一部が構造上開閉できるものを除く。)
ハ 四線駆動式の自動車で車両重量2トン以下のもの(上面、側面又は後面の全部又は一部が構造上開放されているものを除く。)

これによれば、「小型自動車」という枠組みにおいては「定員規定」が、「4輪駆動車」という枠組みにおいては「重量規定」が適用されるが、「4輪駆動車」で重量2トン以上の場合は、イロハのうちのロ「乗車定員10人以下の乗用自動車」として許可することができる。しかしながら、今回宮城県警は「四線駆動式の自動車で車両重量2トン以下」であることのみに注目し、許可しなかったとみられている。

不許可となった後、宮城県選挙管理委員会は猪股氏の陣営から問い合わせを受けて宮城県警に照会、その後誤りが判明した。警察は「休日」を理由に本来受けるべき申請に対応しなかったとの報道もあり、結果として、猪股陣営は2日間、選挙カーを使った選挙運動ができなかった。猪股氏は同議会議員選挙(太白区選挙区)で87票差の次点で落選している。

宮城県警察本部は「選挙運動に支障をきたした」として、捜査2課長など7人を8月19日付けで「本部長訓戒」などの処分にしたと発表している。

大濱﨑 卓真

大濱﨑 卓真ジャッグジャパン株式会社 代表取締役社長

投稿者プロフィール

1988年生まれ、三鷹育ち。青山学院高等部卒業、青山学院大学中退。国会議員秘書、システム開発会社でのサラリーマンを経て、2010年独立。東日本大震災の際には、帰宅困難者向けに避難所を地図にした Google Maps「東京都内避難場所」を震災発生直後にリリースし話題に。現在は、選挙コンサルタント、自由報道協会記者という立場のほか、教育系会社取締役など、複数の法人役員を兼務している。

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