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「2月は自殺者が少ない」は本当?――警察庁が届けるチョコよりビターな現実

内閣府には「自殺対策推進室」という機関があります。
こちらでは、警察庁の情報を元にした統計の公表などもなされています。

今回取り上げる指標は「平成27年の自殺者数について(平成27年9月末)」です。

グラフを見ていきます。

内閣府自殺対策推進室(2015)「平成27年の自殺者数について(平成27年9月末)」

内閣府自殺対策推進室(2015)「平成27年の自殺者数について(平成27年9月末)」

月別自殺者数の推移が5年分、折れ線グラフになっています。特に高い山は平成23年5月の数値ですが、震災直後というタイミングにより止むに止まれぬ事情を抱えた人々が多かったものと推測されます。次に目立つのは、大きな谷底を作っている2月。…バレンタインデー効果?自殺をせき止めるのは、糖分だった?

特異な現象を目の前に様々な仮説も現れますが、ここで一旦立ち止まって考えてみます。

 

そもそも、「月単位の自殺者数」を比べることで、「自殺者の多い月、少ない月」を正確に把握することは可能だろうか?

 

一見トートロージーにも思える問いですが、答えは下の表にあります。
1日あたり自殺者数どうでしょうか?「月」は時間の単位ですが、内包している「日」の数が違うため、純粋に「合計同士」で比較すると誤った判断を招く恐れがあるのです。「1日あたり」で見ると、今年9月までの統計で最も自殺者が少ない「月(時期)」は、8月ということになります。一方で3月は総数、1日あたり共に最多となっており、一般的に「生活環境が変わる季節」とされる、春先に自らの命を絶った方が多かったと言えます。

今回は、グラフの形や印象による誤解をしがちな例として本統計を取り上げました。
亡くなられたすべての方のご冥福をお祈りいたします。どうか安らかに。

宇田川 藍

宇田川 藍ジャッグジャパン株式会社

投稿者プロフィール

1989年生まれ。幼いころ体験したユビキタス技術に興味をもち、大学では空間情報学を専攻(青山学院大学総合文化政策学部)。地理情報システム(GIS)を用いたエリアマーケティングの手法やオープンデータの利活用を、大手企業から政治の分野にまで幅広く提案している。
アート、ハイテク、街歩きが好き。

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