日本でも議会を設置しない「直接民主制」を実現する制度が存在する!
- 2015/12/20
- 特集記事
日本では、民主主義の制度として「間接民主制」を導入しており、地方自治においても「間接民主制」が採用されています。今では当然のことではありますが、地方自治法には例外として「直接民主制」を実現するための制度が形式上は残っており、日本国憲法下においても「直接民主制」を実現していた村が過去にはありました。
まず、現行の地方自治法では、第六章「議会」の冒頭において、下記のように定めています。
地方自治法第八十九条 普通地方公共団体に議会を置く。
この条文が、普通地方公共団体である都道府県や市町村において議会を設置する根拠法律となっています。従って、当然に全ての都道府県や市町村において議会が設置されていることになりますが、この条文には例外規定が設けられています。
地方自治法第九十四条 町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。
これは、町村が条例で定めることによって、議会を設置せずに、選挙権を有する者を全員集めた「総会」を開催することが出来るというものでした。選挙権を有する者を全員集めることを前提としていることから、地方自治体における直接民主制そのものの制度化として、注目をされることが稀にあります。
直接民主制にはメリットが多くあるといわれています。間接民主制に必須である選挙を実施しないという点でより大多数の意見が反映されていると考えられており、総会の議決には非常に高い正統性があると考えられています。また、選挙を実施することにより、議会が「選挙時の民意」を反映している議員によって構成されていることから、民意の即時反映ができないという欠点がありますが、直接民主制の場合にはすべての議案に対して原則、その時々の有権者が意見を表明し、議決に加わりますから、民意の即時反映においても有意だと考えられています。
しかしながら、最も大きいデメリットとして取り上げられるのが効率の悪さです。直接民主主義は選挙権を有する者を全員集めることになりますから、ファシリティなどの実現可能性が極めて低いとされており、また莫大なコストがかかることにもなります。その為、民主主義国家において直接民主制度は早々に廃れました。しかしながら、少人数であってすでにコミュニティとして総会ができる環境があれば、実現可能性の問題もコストの問題もクリアになるため、必ずしも一概に否定されるものでもありません。
この町村総会制度、日本国憲法下において、実際には一例のみが確認できています。東京都の八丈島、その横に位置する八丈小島の南東側に位置していた宇津木村は、そもそも地方自治法制定までの間、名主制度が存続していたという希有な村でした。地方自治法制定にあたって宇津木村となりましたが、この時点での人口が約50人と極めて小さい村であり、昭和26年に「宇津木村村民総会定例会条例」を制定し、町村総会の設置を決めました。
宇津木村は、その4年後である昭和30年には八丈村に編入(同時に町制施行し八丈町)。これと同時に町村総会は当然に廃止されました。なお、八丈小島は昭和44年に全島民の移住が行われ、すでに人は住んでいません。現在、日本で最も人口の少ない村は東京都青ヶ島村ですが、推計人口(2015年9月)は192人とされており、どれだけ宇津木村の規模が小さかったのかが分かると思います。
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