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蕨市長タウンミーティングレポート(4/23)

晴れた空に暖かい風が心地よい土曜の午前、蕨市長タウンミーティングに参加してきた。会場は体育館を併設している蕨北町公民館の2階集会場である。
この施設は常にさまざまなクラブや団体が利用しているため、いつでも人の賑わいがあるのだが、この日はいつにも増して人が多い。
皆、今回のタウンミーティング参加者だろうか。
会場に入ると、開始時刻10分前であるにも関わらずすでに席が埋まっている。目算だが、大体90名以上は集まっているようだ。
来ている人の年齢層としてはやはり高齢者が多く、次いで中高年世代といったところか。20代30代と思しき若い世代も男性が中心のようだが、わずかながら見受けられた。
こういった行政のタウンミーティングに参加するのは今回が初めてなのだが、こんなに人が集まるものだとは思ってもみなかった。

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1 市長あいさつ

開始時刻となり、まずは市長のあいさつからスタートした。
冒頭は熊本で起きた震災に関する話題が取り上げられ、蕨市が自治体として全国で一番早く熊本への支援を表明したことについて述べられた。市内数か所に設置した募金箱で現在72万円以上が集まったことや、04/22金曜の17時半から1時間半にわたり市役所職員が蕨駅で募金運動を行ったことの報告がなされた。
また、NHKで蕨市の募金活動についてテロップ流していた影響もあり、市外、県外からの問い合わせも多数寄せられたとのことである。加えて、蕨戸田トラック協会から熊本県宇土市へ物資輸送を行ったという話も出た。
蕨市を挙げての被災地支援活動は引き続き行っていくと市長は語った。

次に出た話題は震災から一変し、蕨市ご当地スイーツの話題である。
蕨市には数年前から「大人のプリン」なるスイーツを作っており、駅前のレストランなどで販売していたが、この度「大人のプリン」をパイ生地に包んだ「大人のプリンコルネ」というスイーツを商品化し、サークルKサンクスにて04/12より期間限定全国発売が開始されたとのことである。ここで市長から、「蕨市にサークルKサンクスはないのですが…」とぼそり。会場がどっと笑いに包まれた。
最寄りの店舗は、蕨駅西口にあるユアースポーツクラブの向かい側にあるコンビニ(川口市)で売っているとのこと。そもそもこの「大人のプリン」、蕨市内の若手シェフが集まって作ったもので、蕨は成人式発祥のまちであるため「大人の」プリンとなったそう。カラメルにビールを使っているほろにがプリンであることが一番の特徴。詳細が気になる方は検索されたし。
今回サークルKサンクスでの取り扱いになった経緯として、埼玉県B級グルメ大会で、大人のプリンをパイ生地でくるんだコルネを出したところ、サークルKサンクス賞を取ったため、とのこと。筆者は左党であるためコンビニで甘いものを買うことはなかなかないのだが、見かけたら手に取ってみる…かもしれない。

2 予算について

予算の使い道については資料が配布されており、「安心とにぎわい みんなにあたたかい 日本一のコンパクトシティ蕨」の実現へ と題されていた。まず、予算の概要からはじまり、市政を運営する上でどこに財源を充てていくか、またそれはどういった取り組みに使われるのかという流れである。市政の取り組みについては大まかに6つの項目に分かれていたが、
「すべて話すと2時間くらいかかってしまう為、重点を置いている箇所を中心に端折って話す」とのことで、頑張ってコンパクトに、しかし力を入れているポイントがわかりやすくまとめられた。

ここで聞いた内容に関しては、長くなるため割愛するが、主に防災、防犯、教育関連、健康関連に注力していくようである。防災に関する話は特にボリュームもあり、「自助」「共助」「公助」の3つをそれぞれ促進していくための取り組みについて語られた。防災、防犯、教育関連については力を入れているだけあり、それぞれ良い成果を挙げているようだ。また、土地開発公社の経営健全化のため、駅前の土地を少しづつ数年かけて買い戻しているという話もあった。
買い戻された土地が今後どのように生かされていくのか言及はなかたが、非常に気になるところである。

この予算に関するセクションでは話の端々に「お金がないので」等の表現が出ることがあり、それが印象的であった。蕨市の人口は2016年4月現在73304人、世代別で見ると、いわゆる働く世代がボリューム層となっているようだが、それでも税収が悪いということなのだろうか。
調べてみたところ、埼玉県全体の人口7,264,768人中生活保護受給者は96,230人と75人に1人が生活保護受給者であるのに対し、平成28年現在蕨市の生活保護受給率は2.19%と埼玉県1である。計算すると、蕨市では約1605人が生活保護受給者であり、約45人に1人が生活保護を受給していることになる。
埼玉県のホームページによると、埼玉県では生活保護受給者チャレンジ支援事業という事業を展開しているとのことだが、県内随一の蕨市としてもなんらかの取り組みが必要なのではないだろうか。もちろんセンシティブな話であるため一概には言えないが、埼玉県内で蕨市民だけが病気や大けがにより働けないという人が大勢集まっているとは考えにくいからそう思うのである。
それこそが根本からの解決であり、「安心とにぎわい みんなにあたたかい」まちづくりとなるのではないかと筆者は感じている。

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3 意見交換

最後のトピックは市長への質疑である。

最初に質問を出したのは、最近保健センターで人間ドックを受けたという女性であった。バリウム検査が苦手な為断ったところ、担当から「条例の為必ず全員バリウムを受けてもらっている」と言われ、且つ「バリウム検査をしない場合は追加料金を払うように」言われ、請求も来たので払ってしまったとのこと。今までもバリウム検査は断ってきたはずだったが、ということでの質問であった。
市長からは、条例が変わったということはない為、確認し個別に連絡するので連絡先を教えてほしいという回答がなされた。

なるほど、こういう質問も出てくるのか、とある種感慨深い。タウンミーティングというのは、予算だとか市の方向性や施策について突っ込んでいく会なのだとばかり思っていたが、こういう使い方もあるのかもしれない。
他にもいくつかの質問が上がり、質問者→司会→市長→質問者…と続いていく。

そして、最後の質疑者は防災に関する質問を投げかけた。

市役所の耐震はどうなっているか。また、市外から来ている職員が多いようだが、災害時に集まれる職員はどれくらいいるのか、とのこと。市長からの回答は、蕨市役所の耐震性に問題があることは認識しているが、改修工事着手までには時間がかかるということだった。理由としては、財源等の兼ね合いから耐震化工事を進めるにあたり優先順位をつけ、小学校や保育園から始めてきて、やっと公民館に着手したところであるためとのことである。
ただしながら、市役所が倒壊して職員が生き埋めになることがないよう、柱の補強は行ったため層崩壊はないであろうとのこと。また、市職員がどれくらい集まれるか、ということについては、初動マニュアルを作成して職員に配布しており、震度5以上の震災が起きた場合にどこへ向かうか割り振ってあるとの回答だった。
市役所職員の蕨市民率は低いことについては、なるべく単身の内定者には蕨に住んでもらえるよう内部努力しているとも加えられた。

最後の質問への応答を以て、会は終了した。尚、途中から来る参加者も数人おり、最終的な参加人数は100人ほどいたのではないだろうか。

余談ではあるが、帰りがけに参加者全員に花の苗を配布しており、筆者も頂いて帰ってきた。帰宅後すぐ鉢に植え替えた。いまは自宅のベランダで元気にいろどりを添えている。

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おわりに

今回の参加を通じて、月並みな感想であるが、市がどのような取り組みをしているのか知れたことが収穫であった。もちろん、こういった仕事をしている以上、タウンミーティングで開示される情報はきれいなものであろうということは予想していたが、今後もう少しぶっちゃけたタウンミーティングがあると面白いなあ、と、僭越ながら思った。もちろん、聞けば教えてもらえたことなのかもしれないので、聞かなかった筆者が悪いということになる。しかし、普段自分の住んでいるまちが何をしているのか知らない人は是非行ってみるべきであるという意見は変わらない。
政治というのは国会だけではない。誰でも、どこかしらの市区町村に居住している限り、そこには議会があり、長がいる。議会で決めたことを長が決定し、さまざまな施策が動き出すのである。その財源はほかでもない、税金である。
日本には納税の義務があるわけで、誰でも税金を納めているのだから、自分が納めた税金がどのような形で使われているのか知ることはとても大切なことである。昨今、地方自治の促進、地方創生が叫ばれているが、こういったところを窓口に、自分の住む町が何をしているのか考えてみてはいかがだろうか。そして、疑問があればそこでぶつけてみればいいし、もし納得がいかないなら自分が立候補してみるのも良いと思う。最後に、この記事を読んで興味を持った方が一人でもいれば、この記事の狙いは成功したと言える。

この特集記事では今後もさまざまな自治体や政党、議員のタウンミーティングや演説会その他について不定期連載していく予定である。
もしこの記事を御覧になった方で、タウンミーティング等を開催予定の方がいれば、是非お声がけ頂けると幸いである。

「TheVote」担当記者

「TheVote」担当記者ジャッグジャパン報道事業部

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