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海外の政治情勢 -ウォーレン氏が台頭する米民主党

諸外国の政治情勢の中で注目すべきは、「ウクライナ疑惑」でトランプ大統領に対する弾劾を行うための調査が開始されたアメリカ、「緊急条例」が発動された香港、10月31日に再びEU離脱期限を迎えるイギリスである。

アメリカ

アメリカでは、トランプ大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対してバイデン前米副大統領に絡む疑惑について調査するように圧力をかけたとされる「ウクライナ疑惑」が大きな政治問題になっている。

トランプ氏は、「バイデン氏は、副大統領を勤めていた時にウクライナ政府に対して息子のハンター・バイデン氏が当時理事を務めていた天然ガス企業ブリスマに関する汚職疑惑を捜査していた検察総長を解任するように働きかけた形跡がある」と主張している。トランプ氏はゼレンスキー大統領に対してウクライナに軍事支援する見返りにこの件に関する調査してほしいと圧力をかけ、さらにホワイトハウスが電話会談の記録を隠蔽した疑惑がもたれており、この件での内部告発が相次いでいる。

これに対して、米連邦議会下院のナンシー・ペロシ議長(民主党)は、トランプ氏の行動は国の安全保障を脅かすとして弾劾調査の開始を発表した。しかしながらトランプ氏は一向に懲りる気配はなく、ハンター・バイデン氏が中国で不正なビジネスをしていたと主張し、中国に対してこの件を捜査するように協力を求めた。これまで民主党の2020年の大統領選挙予備選挙で支持率トップを走ってきたバイデン氏はトランプ氏にとって脅威であり、一連のトランプ氏の行動は疑惑をたきつけてバイデン氏の支持率を下げる狙いであるのは言うまでもない。その結果バイデン氏の支持率は下落し(リアル・クリアー・ポリティックスによる各社平均値は26.5%)、また民主党内の有力候補の一人であるバーニー・サンダースも先日心筋梗塞で入院した結果(現在は退院)、高齢による健康問題への懸念からか支持率が下落した(同14.3%)。一方で、サンダースと同じく党内左派のエリザベス・ウォーレン上院議員の支持率が上昇し、バイデン氏とほぼ並んだ(同26.0%)。

ウォーレン氏がかつて先住民族の子孫であると主張したことに対して、トランプ氏は実在した先住民女性ポカホンタスにちなんで彼女のことを「ポカホンタス」と呼んで揶揄してきたが、ウォーレン氏との決戦の可能性が高まればそれだけ彼女に対してこの手の攻撃を頻繁に繰り返すことになりそうである。

香港

香港では香港行政府当局と民主派市民によるデモ隊の衝突が拡大する中、香港政府は「緊急状況規則条例」(緊急条例)を発動し、デモ参加者のマスク着用を禁じる強硬措置を発動した。民主派はこれに反発して政府との対決姿勢を一段と強めている。

デモ隊の行動がエスカレートする程、中国政府の影響下にある香政府は一層締め付けを強化することが懸念される。今後に関しては、10月16日に立法府(国会の役割を果たす)の新しい会期が始まり民主派と親中派の対立がさらに深まりそうだが、それよりも問題になりそうなのが11月24日に行われる予定の区議会議員選挙である。区議会は香港の全18区においてそれぞれあるものの国会の役割を果たす立法府に比べて権限が弱く、さらにそれぞれ親中派が多数派を握っている。しかしながら、小選挙区制度が採用されていることもあり一連の抗議活動を受けて民主派の躍進が見込まれている。ここで懸念されるのが、香港政府が「緊急条例」を口実に選挙を延期することである。もしそうなれば抗議活動の目的が香港行政府のそのものの打倒に変容することも考えられ、それをきっかけに中国政府が直接介入を行う可能性さえある。

イギリス

ジョンソン首相は2日、欧州連合(EU)に離脱に関する「最終提案」を提出した。メイ前政権がEUと合意し議会に提示した離脱協定案では、北アイルランドの国境管理問題が解決するまでは英国全体がEU関税同盟にとどまるとした「安全策」が盛り込まれていたが、ジョンソン政権による最終提案ではこれを削除し、英国は関税同盟から抜けるものの北アイルランドだけを農産品、食品安全、工業品等の分野でき続きEU単一市場に残すとこととした。また、北アイルランドにおける税関検査については、税関をアイルランドとの国境に設置せずに国境から一定距離のある施設で行うことや電子検査で行う方針をEUに提示する方針のようだが、現時点では非常に曖昧である。

同提案に対して早くもトゥスクEU大統領が修正を促すなど、10月末までEUと英国議会の承認を得られるとは考えにくい。英国議会はEUに対して離脱延期申請を行うことを義務づけた法律が成立させたが、ジョンソン氏としては①辞任する、②同法律を無視して強硬離脱を行う、③形式的に離脱延期申請を行いEUが拒否したことを理由に強硬離脱を行う、④EUに離脱延期申請を行ったうえでEUとの離脱交渉を進める、⑤EUに離脱延期申請を行ったうえで早期に議会を解散させる、等の選択肢が考えられよう。ジョンソン氏の性格を考えれば、個人的には③か⑤の可能性が高いように思うが、いずれにせよ10月末以後の早い段階で機能不全となっている英国下院を解散し総選挙を行おうという流れは強まるだろう。

鈴木しんじ

鈴木しんじ慶應義塾大学SFC研究所上席所員

投稿者プロフィール

1972年生まれ、東京都中野区出身。東京工業大学博士(理学)。
東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。専門は政治経済学、公共経済学。
個人ホームページ https://www.suzuki-shinji.net/

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