日韓関係の悪化は単なる外交問題にとどまらず両国内の政治経済に様々な影響を与えており、先が見えない状態が続いている。韓国政府は22日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定し日本国内では衝撃が広がっている。日本政府が輸出審査における優遇対象であるホワイト国のリストから韓国を除外したことに韓国国内では反発が広がったが、安倍政権は韓国側の報復措置として米国が反対するような協定破棄には踏み込めないと想定していたようである。
実際にGSOMIAを破棄したことによって不利益を被るのは韓国側だとの指摘もあるが、文在寅政権としては日米韓の同盟関係よりも北朝鮮との融和を重視するということなのであろう。文政権の意思決定は非合理的に思えるが、文大統領としては、来年の総選挙(議会選)をにらみ政権の支持基盤である左派層からの支持を固めたいことと日本に強硬的な姿勢を取ることが依然として支持拡大に一定の効果があると考えているようである。
しかしながら、日韓関係の泥沼化の大きな要因の一つとして見逃せないのが、米トランプ政権の機能不全である。これまでの米政権は、日韓など同盟国間の関係悪化は米国中心の世界秩序を維持するうえでマイナス要因になるとして、積極的に介入を行い関係修復に努めてきた。しかしながら、トランプ大統領は多くの同盟関係に対して米国に恩恵をもたらしていないと考え懐疑的である。また、他国間の関係に強い関心があるとも思えず、日韓関係に対しても本格的に介入しようとする意思がないように思える。さらに、政権内部での意思疎通も上手くいっているとは言い難いことから、米国政府全体として多くの政策に対して首尾一貫した対応を取れる状態にないことがマスコミで指摘されている。これらの要因が日韓関係に対する米国のコミットメントを低下させていると言えるのではないか。
さて、日本国内の政治日程に関しては、安倍首相は9月半ばに内閣改造・自民党役員人事を行った後、9月下旬に米ニューヨークでの国連総会に出席、10月上旬に秋の臨時国会を召集することを考えているようである。臨時国会の会期は12月上旬までとする方針とのことで、安倍首相が勧めようとする憲法改正に関する論議が具体的に行われるかが焦点となろう。これに対する野党側の動きとしては、立憲民主党と国民民主党が衆参での統一会派結成に合意し、さらに野田前首相が代表を務める衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」も会派合流に向けた協議に参加する方針を決めた。
野党側のいわゆる旧民主党系勢力の再結集の流れが進んでいるのは、参議院選挙において山本太郎氏が率いるれいわ新選組が躍進した一方で立憲民主党が伸び悩んだことが背景にある。つまり立民の焦りが旧民主系の再結集の言動力になっているのであるが、立民と国民では原発政策に大きな違いがあり選挙目当ての野合との印象を与えかねず、国民の共感を得られるかは不透明である。さらに野党の大同団結となると、消費税10%への引き上げを決定した野田前首相と消費税廃止を訴える山本太郎氏のスタンスの違いは明確である。野党に関しては、明確は旗印がなければ次期衆議院選挙で勝利することは困難であろう。
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