政治献金か賄賂か?その境界線は。
- 2016/3/5
- 特集記事
政治家の役割は政策を立案し法律を作り、行政府を監督してその政策を実現していくことにあります。その過程で公務員に働きかけて職務上の行為をさせることは政治家の本来の職務です。そして、個人や団体が自分の理想を実現するため、あるいは何らかの利益のために政治家に働きかけることも一般的に行われていることです。
遠藤利明オリンピック・パラリンピック担当大臣が代表を務める政治資金団体が、英語の授業で日本人教師を補佐する外国語指導助手(ALT)を派遣する会社の創業者から献金を受け、文部科学省にALT派遣事業の予算化を働きかけたと報じられました。この件では、直前に起きた甘利経済再生大臣の件と違い、現時点で遠藤大臣の辞職などの事態には至っていません。その献金が、政治資金として適正に処理されていれば違法性を問われる可能性は少なそうです。つまり、自社の利益のために政治家に特定の政策を勧め、政治資金団体や政党に政治献金することは認められているということです。
しかし、経済再生担当大臣であった甘利明氏は1月末に大臣を辞職しました。その理由は「あっせん利得処罰法」に抵触する可能性があることを指摘されたことだと言われています。あっせん利得処罰法は平成13年に制定された比較的新しい法律で、国会議員のみならず公設秘書が、”公務員に対して職務上の行為をさせるようにあっせんをすることで経済的な報酬を受け取ること”を禁じた法律です。
遠藤大臣と甘利元大臣の違いは何でしょうか。大きなちがいは、一方が政治資金として政治資金団体に献金されていることに対して、一方は面談の席で現金を受け取り政治資金として処理された形跡がないということです。政治資金として処理されるということの実質的な意味は、その資金の出入りが広く国民に公開されることにあります。
米国では政治家が資金を集めることは日本に比べて比較的制約が少ないといわれています。ロビー活動が公に認知されており、有権者は支援する議員が影響力を行使し政府機関に働き掛けをするのは当然と考えています。しかしそれは、政治資金は包括的に情報公開され、どの企業や団体がどの議員にいくら資金を出しているかはインターネットで把握できることを前提にしています。議員の動きや関わった政策をみて、献金の是非を国民が判断するという合理的なシステムになっているわけです。議員は出納を公開することで自己責任において献金をうけることができます。
日本では献金や寄付を制限する代わりという名目で、国庫から政党交付金という巨額の資金が政党に支出されています。これは大きな社会的なコストであることは間違いありません。また、規制を強化することが逆に闇の資金を助長しているという指摘もあります。
どちらがいいか一概にはきめられませんが、まずは政治資金の流れを徹底して透明化して行くことを推し進めて行くことがいい結果に繋がると信じています。
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