今夏に参議院選挙が行われる予定となっているが、永田町では安倍首相が6月26日の通常国会会期末前後に衆議院の解散を行い、衆参ダブル同日選挙に打って出るのではないかとい疑心暗鬼が広がっている。今回参議院で改選となるのは自民党が大勝した2013年の選挙で選ばれた議員で、本来は自民党が現状議席数を維持するのは困難なはずだが、内閣支持率が高水準にあることと野党の選挙準備が整っていないことから引き続き自民党が勝利できる可能性が高いと言われている。このことが衆参ダブル選挙説の背景にある。
自民党としては衆議院選挙を行って問題ないが、野党側からすれば総選挙は避けたいのが本音であろう。しかしながら与野党どちらもジレンマがある。衆議院の任期中に解散を行うのであればそれなりの大義名分が必要となる。安倍政権としては大義名分を見つけ、野党としては大義名分を与えないようにするという神経戦が会期末まで繰り広げられそうだ。
安倍首相は2014年の衆議院解散時には「消費増税の延期」を解散の大義名分とし、2017年には「消費税増税分の財源の使途変更」を解散の大義名分とした。しかしながら再度の延期や内容変更を行うとなると政権の財政政策の信頼性が大きく損なわれるのは不可避であり、その妥当性を説明するのが難しい。2010年には当時の菅直人首相の消費税に関する発言が災いし、参議院選挙で旧民主党が敗北・参議院で過半数割れした結果、その後の民主党政権がレームダック化したように、消費税に関する政策変更は政権の命取りになりかねない。その他の政策に関しては、今国会では目立った与野党対決法案がないので政権として野党との対決軸を打ち出して国民に信を問いにくいと言える。憲法改正で信を問うことも考えられなくはないが、改憲の機運が高まっていない中でそれを争点にしてもマイナスに働く可能性が高いと言えよう。
一方の野党は、表向きは解散されれば受けて立つと言っているものの、参議院一人区の候補者調整がようやく目途がついたというのが現状であり、候補者調整どころか擁立作業さえ進んでいるとは言い難い。逆に、候補者擁立作業を進めれば野党から解散を煽る形になるという皮肉な結果をもたらしかねない。野党第一党の立憲民主党は、これまで政権構想を示しておらず他党との選挙協力体制の構築にも熱心に取り組んできたとは言えなかったが、支持率低下も含めこれまでの対応が全て裏目に出た形だ。
今のところ解散の直接の引き金になりそうなのが、6月19日に行われる予定となった党首討論である。安倍首相が民主党政権と安倍政権を比較しながら立憲民主党の枝野代表を挑発し野党に不信任案を提出させ、それを理由に衆議院を解散するのではないかと言われている。野党からすれば、挑発されても不信任案を提出しなければ衆議院選挙は免れるが野党は逃げ腰だという印象を与えることになり、参議院選挙への悪影響は必至だ。追い詰められているのは野党であるというのが冷静な評価であろう。
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