[Q&A]地方議員や首長が兼業できない仕事って?
- 2016/9/14
- 公選法Q&A
地方の議会や首長の選挙を見ていますと、実に様々な職業に従事されている方が多く見受けられます。会社経営者、会社員、農業従事者、ジャーナリスト、主婦等色々な方がいます。では、議員や首長が兼職してはいけない仕事というのはないのでしょうか。
まず一つは公務員です。
公職選挙法第89条では、以下の職業に就いている人たちは立候補が制限されていると定められています。
・国もしくは地方公共団体職員
・独立行政法人の役員、職員
・衆議員議員、参議院議員、地方議会議員、首長
これらの職に就いている人たちは、一度辞職してから立候補せねばなりません。
また、公職選挙法第90条では以下のように定められています。
第九十条
前条の規定により公職の候補者となることができない公務員が、第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項、第八十六条の二第一項若しくは第九項、第八十六条の三第一項若しくは同条第二項において準用する第八十六条の二第九項前段又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定による届出により公職の候補者となつたときは、当該公務員の退職に関する法令の規定にかかわらず、その届出の日に当該公務員たることを辞したものとみなす。
つまり、公務員が立候補届を出せば辞職の手続きが完了していなくても公務員を辞職したことになるということです。
しかしながら、公務員の政治活動は公職選挙法で制限されており、選挙までの期間に何の活動もせずに当選するというのは無投票確実でない限り厳しいものですので、立候補届を出す前に退職しておく必要があります。
では、公務員以外の仕事であれば何でもOKなのかというと、これもまた制限があります。
第百四条
地方公共団体の議会の議員又は長の選挙における当選人で、当該地方公共団体に対し、地方自治法第九十二条の二 又は第百四十二条 に規定する関係を有する者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対し、第百一条の三第二項の規定による当選の告知を受けた日から五日以内に同法第九十二条の二 又は第百四十二条 に規定する関係を有しなくなつた旨の届出をしないときは、その当選を失う。
この「地方自治法第九十二条の二 又は第百四十二条」というのは、以下の条文を指します。
第九十二条の二
普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。
第142条は、この第92条の「議会の議員」を「地方公共団体の長」に置き換えただけのものです。つまり、地方議会議員と首長は、自身が議員ないしは首長を務める地方公共団体から請負う仕事をしていてはいけないのです。
また、この条文にある「主として同一の行為をする法人」の「主として」とは、過去の判例を読みますと「請負関係を有しているか否かを決しなくてはならない時期に業務実績により、概ね当該法人の業務量の主要部分が請負で占められているものを意味する」とされています。
また、別な判例では「請負金額と当該法人の業務実績により、請負金額と当該法人の全業務量を金額に換算したものとの比率により個々具体的に判断されるべき」とされています。
過去の事例をご紹介します。
文具店経営の市議会議員A氏
①年に2回定期的に市に文房具を年間売り上げの10%を納入している
②市への文房具の納入が入札制で、たまたま年4回に渡って納入することになり、その合計額が年間売り上げの60%に達したことがある
③市との関係が請負事業に関係するため、経営を息子名義に変更した
このケースの場合、①②は地方自治法第92条に該当、③は市との契約当事者もしくは支配人がA氏本人でない限り地方自治法第92条には該当しないとされました。
「個々具体的に判断されるべき」という判例が出ていることからも、グレーな問題ではあります。
気になる場合は確認してからの方が良いでしょう。
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