お祭り騒ぎのような参議院選挙も終わりました。
ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、今回も選挙妨害被疑に関するニュースが報道されました。ビラ、取り囲み、ポスター破損、演説妨害等々。
さて、今回のテーマは選挙妨害について書かせて頂きます。
公職選挙法では、選挙妨害について以下のように定められています。
(選挙の自由妨害罪)
第二百二十五条 選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
三 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者若しくは当選人又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人を威迫したとき。
上記条文の1にある「威力」とは「人の意思を制圧するに足りる勢力」を指し、「威迫」は「人に不安の念を抱かせるに足りる行為」を指します。
7月2日に片山さつき氏がJR立川駅前で「アベ死ね」等と書かれたプラカードを持った20人ほどの集団に取り囲まれて罵声を浴びせられたため、握手をして場を納めようとしたところその手を叩かれたという報道がありましたが、これは上記条文の1に当てはまるでしょう。
このケースの場合、以下の罰則が与えられることが考えられます。
(多衆の選挙妨害罪)
第二百三十条 多衆集合して第二百二十五条第一号又は前条の罪を犯した者は、次の区別に従つて処断する。選挙に関し、多衆集合して、交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害した者も、同様とする。
一 首謀者は、一年以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し又は他人に率先して勢を助けた者は、六月以上五年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪を犯すため多衆集合し当該公務員から解散の命令を受けることが三回以上に及んでもなお解散しないときは、首謀者は、二年以下の禁錮に処し、その他の者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
つまり、もし立川駅前での取り囲みについて立件されて容疑者が逮捕された場合、片山さつき氏を取り囲んだリーダーは1年~7年は服役、賛同して一緒に行ったメンバーは1万円未満~20万円を支払うことになるかもしれない、といったところでしょうか。
条文の2にあてはまるものとしては、7月5日に八千代市で選挙ポスターを故意に黒スプレーで汚して69歳が逮捕された事案がありましたが、各地で同じような事案が多発しているようです。いずれもいい年の中高年ばかりというのがなんとも言えない感じです。
3に当てはまるようなケースが今回の選挙では無かったので、過去の事例から紹介しますと、だいぶ昔の話ですが、ある候補者に投票しないと井戸水を使わせないとして違反となった事例があります。
大きく話題になった杉尾秀哉氏が長野で中傷ビラを撒かれた件については、第225条ではなく、第235条の「虚偽事項の公表罪」・第142条の「法定外文書頒布」にあたるとして告発状を提出しています。
(虚偽事項の公表罪)
第二百三十五条
当選を得又は得させる目的をもつて公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出、その者に係る参議院名簿届出政党等の届出又はその者に対する人若しくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2 当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
今回のビラはアナウンサー時代のことについて書かれていたそうですから、逮捕された場合は第235条の1によって、2年以下の懲役または30万円以下の罰金になるのでしょうか。また、青山繁晴氏も、週刊文春が青山氏の過去について虚偽の記載をしたとして告発する予定とのことで、これも第235条に当てはまるでしょう。
祭りの後とはよく言ったものですが、選挙期間が終わったいま、期間中のアレコレが動き出すタイミングでもあるでしょう。
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