[Q&A]選挙当日の「棄権防止運動」ってどこまで許されるの?
- 2016/5/23
- 公選法Q&A
皆さん選挙には行っていますか?
今年の7月には参議院選挙を控えていますが、国政だけでなく、自分の居住地域の議会議員や首長を決める選挙も含め、行っていますか?
今回のテーマは選挙の棄権防止運動についてです。
まず、みなさんご存知の通り、選挙は成人した日本国民であれば誰でも有する権利です。(※禁固刑以上の刑に処せられた人、および贈収賄やあっせん利得罪を犯して5年が経過していない人を除く/現在2016年5月時点では18歳以上の選挙権は付与されていない)
また、多忙な人でもなるべく選挙に行けるよう、期日前投票制度も設けられています。
しかしながら、選挙に行かない(棄権する)こともまた、有権者の権利であります。なぜならば、選挙で投票できるのは「権利」であり、「義務」として定められていないためです。
海外を見てみますと、国によっては投票に行かないと罰則が設けられていたりもしますが、日本ではまだ行くも行かないも自由なのです。
では、タイトルにある「棄権防止運動」について、過去の違反事例を書いてみます。
とある町で、選挙当日に棄権防止運動をした人達がいました。彼らはある候補者を支持している団体でもありました。この場合、彼らがある特定候補者を支持していたことがキーです。つまり、地域の人達へ投票の棄権をさせないことで投票率を上げ、彼らが支持する特定候補者の当選を図らんとしたとみなされたのです。
尚、選挙当日の選挙運動は違反となりますので、「○○さんに1票を」と呼び掛けることはもちろんのこと、特定候補者を支持している人達が「○○さんに1票を」ではなく「選挙に行きましょう」と呼びかけるという行為も、その行為が純然に特定の候補者の当選をはかるためや、もしくは特定の候補者の落選をはかるための目的であれば、選挙運動にあたりますので注意が必要です。「選挙に行きましょう」と呼びかけるのであれば、選挙期日より前にしておくべきでしょう。選挙運動は、特定の候補者の当選を得しめる行為(もしくは得しめない行為)ですから、特定の候補者を支持推薦する目的でなく、純粋に投票率を上げようとする行為であれば、問題にはなりません。この線引きは、態様によって個別に判断されることになるでしょう。
しかしながら、本当にただ純粋に投票率を上げるための運動であれば「棄権防止運動」だとは思いますが、その運動を行う人達が皆、特定候補者や特定政党を支持する団体であった場合、それは選挙運動にも等しいと思う人も出てくるでしょう。選挙権を義務化するメリット、デメリットありますが、投票率の向上のためにも現行の選挙制度の見直しが必要なのではと考える次第です。
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