[Q&A]公職選挙法でよく聞く「居住実態」って何?
- 2015/10/5
- 公選法Q&A
選挙が終わると、公職選挙法違反についてのニュースが飛び交うようになりますが、その中で「居住実態が無かった」というニュースを耳にすることがあります。この居住実態問題、最近ではモデル・タレントの立川明日香氏が新座市議会議員選挙に出馬し当選後、この居住実態が無かったと指摘を受け訴訟となり、最終的には本人が辞職しました。
居住実態の問題は、選挙に立候補するための「被選挙権」という権利を得るための資格と密接な関係があります。公職選挙法では、選挙権と被選挙権について、次のように定めています。
公職選挙法 第九条
2 日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
公職選挙法 第十条
日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。
五 市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
この2つの条文から、市町村議会議員の被選挙権については、「年齢満二十五年以上」で、「引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者」という2つの条件を兼ね揃えることが必要であることが分かると思います。そこで、ここでいう住所とは何かということになりますが、住所を定義付けているのは民法で、民法22条ではこう定められています。
民法 第二十二条
各人の生活の本拠をその者の住所とする。
今度は生活の本拠の定義とは何か、という話になりますが、「本拠」という言葉からそこが中心的存在であり、他に生活の中心がないことが要件とされていると解釈することが出来ます。例えば、生活の中心であるという基準としては、滞在時間や賃貸借契約の有無、各種公共料金の支払いの有無などが考えられます。
ここで注意する必要があるのは、公職選挙法と民法で要件とされているのは、実態としての住所であるということです。即ち、住民票上の住所がどこか、ではなく生活の本拠がどこか、ということになります。住民票上の住所については、住民基本台帳法に定めがありますが、
住民基本台帳法 第二十二条
転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条及び第30条の46において同じ。)をした者は、転入をした日から14日以内に、次に掲げる事項(いずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあつては、第1号から第5号まで及び第7号に掲げる事項)を市町村長に届け出なければならない。(以下略)
としており、自らが住所を定めた時に転入の届出をすることを義務づけていますが、住所を定めるのは自らの意思であり、条文からは民法第二十二条における「住所」を新たに市町村の区域内に定めた場合に届け出をする必要があることだけを定めていると言えます。
従って、住民票上の住所にかかわらず、民法に定められた「生活の本拠」であるかどうかが基準となることから、このことを「居住実態」として一般的に呼ばれています。なお、生活の本拠としての居住実態が無いにもかかわらず、住民基本台帳法第22条に基づいて転入の届出を行った場合には、虚偽の届出として5万円以下の過料に処することとなっています。(住民基本台帳法第53条)
ただし、この罰則規定は「他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き」という但し書きがあり、議員選挙などの公職選挙における被選挙権ないしは選挙権を不正に得ようとするための届出の場合、公職選挙法違反や刑法157条の「公正証書原本不実記載罪」、刑法158条の「偽造公文書行使等罪」として立件されることが多いです。これは、公職選挙法の取り決めにより、公職選挙法の違反で有罪判決が確定するか、他の法律で禁固刑が確定した場合に失職することが定められているためです。
いずれにしても、住所を有していたかどうかを確認するためには、「生活の本拠」があったかどうかを調べていくことになりますが、主に賃貸借契約の有無のほか、水道料金や電気料金の支払い状況などによる使用量の証明などが一般的な証拠となりえます。
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