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海外の政治情勢 -米国議会が香港人権法案を可決

諸外国の政治情勢の中で注目すべきは、24日の区議会議員選挙を前に混迷を深める香港、「ウクライナ疑惑」でトランプ大統領に対する弾劾調査で公聴会が始まったアメリカ、12月12日に総選挙が行われる予定のイギリスである。

香港

香港では行政府当局と民主派市民によるデモ隊の衝突が拡大する中、治安トップの李家超保安局長は香港理工大学を占拠した学生ら1200人以上を逮捕したと発表した。いまだに立てこもりを続ける学生もいるもののほぼ制圧されたとのことであり、李保安局長はデモ隊について「全員を暴動罪で逮捕する」として強硬姿勢をあらわにしている。一方、香港の(高等裁判所に相当する)高等法院は18日、民主派の抗議デモ参加者に覆面を禁じる条例について、(憲法に相当する)香港基本法に違反しているとの判断を示したが、中国側は全人代が「香港の裁判所には決定権はない」などと強く反発している。

こうした中、米国連邦議会上下両院はデモ参加者らを支援しデモを暴力的に制圧しないよう中国に警告する香港人権法案をほぼ全会一致で可決した。これまで香港情勢に関し沈黙していたトランプ大統領は同法案に署名するかどうか明らかにしていないが、仮にトランプ大統領が拒否権を発動した場合でも議会がそれを覆す可能性は高いと考えられる。一部では、トランプ大統領は米中貿易協議の進展を見極めるために法案の署名を先延ばしにするのではないかとの憶測を呼んでいる。中国政府は当然のごとく米国の動きにも反発を強め、外務省の耿爽報道官は20日、同法案が成立すれば報復すると警告した。

11月24日に行われる予定の区議会議員選挙については、いまのところ香港行政府から延期は宣言されていないが、仮に延期されるようなことになれば民主派市民と行政府当局の衝突は激しさを増し米中関係がさらに悪化することが予想される。また、中国の習近平国会主席は来春に国賓として来日することが予定されているが、中国が香港に対する締め付けを強めるほど日本国内でもこれに対して反対する声が強くなる可能性がある。

アメリカ

アメリカ国内政治では、「ウクライナ疑惑」に関するトランプ米大統領の弾劾調査の公聴会が連邦議会下院情報委員会において行われている。20日はソンドランド駐欧州連合(EU)代表部大使が証言を行い、「(米国・ウクライナ)首脳会談が(バイデン氏捜査の)「見返り」だったかを問われれば、その答えは「イエス」だ」と述べた。また、ソンドランド大使はトランプ大統領の「明確な指示」に従いトランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ氏に協力したと証言したほか、ポンペオ国務長官とペンス副大統領が役割を果たしていたと述べた。ソンドランド氏は実業家で、2016年の大統領選挙ではトランプ陣営へ大口献金を行ったことで知られ、政治経験がほとんどないにも関わらずEU大使に任命された。しかしながら、トランプ大統領は記者会見でソンドランド大使について「よく知らない人物だ」と述べた。

イギリス

イギリスでは6日に議会が解散され、12月12日に下院の総選挙が行われることになった。イギリスでは2011年に制定された議会任期固定法により首相の議会解散権が制限されているので、本来であれば総選挙は5年に1度行われるはずだが、2015年以降で3度目となり同法の有名無実化が進んでいる。

選挙の最大の焦点は言うまでもなくブレグジット(イギリスのEU離脱)である。親EU派を追放した与党保守党とブレクジット党はEU離脱達成を公約に掲げ、自由民主党とスコットランド国民党は離脱阻止を掲げている。立場が定まっていないのが最大野党の労働党で、離脱をめぐる国民投票の再度実施を主張するが、新たな離脱協定をEUと交わしこれとEU残留のどちらを選ぶかで再度の国民投票を行うとしている。同党の立場が定まっていないのは、党内ではEU残留派議員が多数であるにも関わらずジェレミー・コービン党首が隠れEU離脱派と言われるほどEUに対して懐疑的なことが背景にある。

イギリスの下院選挙は日本と同様に単純多数決小選挙区制なので、有効投票総数の過半数の票を獲得していなくても他の候補よりも1票でも多ければ当選する仕組みだ。EU離脱派は保守党とブレグジット党に分かれているものの 、ブレグジット党は保守党が議席を持っている317選挙区に立候補者を立てない方針を明らかにしたため離脱派の票割れは少ないことが予想される。これに対して、EU残留派に関しては各党の選挙協力の機運がなく票は分散することが予想される。特にイギリス全土で候補者を立てる労働党と自由民主党の間で票割れすることが予想され、保守党に有利な展開になっている。

最新の世論調査では保守党の支持率が40%前後、労働党が30%前後、自由民主党が15%前後、予想議席数は総数650に対して保守党が350前後、労働党が約200、自由民主党が20前後となっている。世論調査ではEU残留を望む意見がEU離脱を望む意見を上回るものの、保守党が総選挙で勝利し単独過半数を得た場合はEUからの離脱が実現することになるだろう。 もっとも、前回の2017年の総選挙は事前に保守党有利が伝えられていたが実際は過半数を下回る議席に終わり、メイ政権はその後レームダック化した。今回の選挙でも同じようなことが起きないとは言い切れない。

鈴木しんじ

鈴木しんじ慶應義塾大学SFC研究所上席所員

投稿者プロフィール

1972年生まれ、東京都中野区出身。東京工業大学博士(理学)。
東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。専門は政治経済学、公共経済学。
個人ホームページ https://www.suzuki-shinji.net/

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