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未来を感じない蓮舫民進党。受け皿となる自主参加型の新党結成を考えてみては?

9月15日の民進党代表選で当選した蓮舫氏は21日の同党両院議員総会において執行部の人事案を発表し、承認された。しかしながら、自らの二重国籍問題への対応に加え、野田前首相の幹事長就任をはじめとする新執行部の人事が党内から非難を浴び、その日の両院議員総会も出席者が党所属国会議員の半数にも満たないなど多難な船出となった。蓮舫氏が代表選で掲げた政策も具体性に欠け、野党共闘のスタンスも不明確な一方、依然として安全保障政策と野党共闘に関する党内対立は解消されていない。残念ながら筆者には蓮舫民進党に未来を感じることができないのである。

まず蓮舫氏の二重国籍問題は、池田信夫氏が主催する言論プラットフォーム・アゴラで8月11日に評論家の八幡和郎氏が蓮舫氏の二重国籍の可能性を論じたのがきっかけだったようである。その後、8月29日に行われた産経新聞のインタビューにおける蓮舫氏の本件についての回答が曖昧だったことから、産経新聞や保守系インターネットメディアが二重国籍の可能性を執拗に報じるようになった。その後の答弁も二転三転し、政界入り前の過去のインタビューの内容から、本人が二重国籍であったことを自覚していたのではないかとの指摘もなされている。筆者個人としては、二重国籍であること自体が悪いという気は毛頭ない。そもそも二重国籍であることが悪いか自体、もっとよく議論されるべきことである。しかしながら、内閣総理大臣をはじめ閣僚クラスになれば、国家機密を知る立場になる以上、最低限在職中は二重国籍を放棄し、退職後も機密事項を旧国籍保有国に漏洩しないことが求められるべきであろう。

こうした考えに立っても、将来の首相候補である野党第一党の党首になろうと思うのならば、蓮舫氏が事前に二重国籍の可能性について十分に対応しないで代表選に出馬したことには問題がある。まして二重国籍であることを認識していて代表選に出馬したのならば論外である。一方で認識していなかったとしても、アメリカのオバマ大統領がかつてトランプ氏から出生地について言いがかりをつけられ、アメリカ出生であることを証明させられた事例を考えれば、将来、政敵からこの手の攻撃を受けることは十分予想できたのではないか?こうした事例さえ知らなかったとすれば、首相候補の資質として疑問符が付くのは当然だし、かりに知っていたとしたら、身辺を綺麗にしてから代表選に出馬すべきであった。また一方で、民進党を目の敵にしている産経新聞のインタビューに応じて「私は野田前首相並みのバリバリの保守です」などとリップサービスをした挙句、相手に攻撃する材料を与えてしまうのは愚かな行為であると言わざるを得ない。

こうした脇の甘さは新執行部の人事にも見て取れる。まずは前述の野田新幹事長である。2009年の衆議院選挙で308を獲得した旧民主党の議席は、野田氏が首相だった2012年の総選挙前には(党分裂や離党者が相次いだことから)230に減り、さらに総選挙の結果、57にまで激減したのである。民主党政権がレームダック化したのは2010年の参議院選挙で敗北して参議院の多数を失ったことにあり、また党分裂の責任は野田氏のみにあるわけではない。しかし、就任当初60%あった支持率が20%にまで下がった一因に閣僚人事の失敗が続いたことがあり、代表交代論が出るなど求心力が低くなった状況であえて解散を行った結果が大惨敗である以上、今回の人事が党内で大きな反発を招いたのは当然である。他の主な執行部を見ても論功行賞的な側面が強く、政調会長のみならず、副代表の一人も蓮舫氏が所属する野田グループの議員となれば「お友達執行部」と呼ばれても仕方がない。また、自らを除いて主な執行部に女性がいないことも、新鮮味が欠ける一因となっている。枝野幹事長や山尾政調会長を変えたのはマイナスの結果をもたらしそうである。

また、蓮舫氏が代表選で示した諸政策についても、TPP協定案に対して反対色が強くなったこと以外はこれまで旧民主党が掲げてきたことの延長線にあり、真新しいものはない。これまで掲げてきた政策を踏襲すること自体は悪いことではないのだが、どうしたら「最大の政治課題」と指摘した人口減少に歯止めをかけられるのか、どうしたら安定的な経済成長を達成できるのかについて具体策が書かれていないのである。安倍首相はニューヨークで「人口減少はむしろ追い風」などと当事者意識が感じられない発言をしたが、第二次政権発足後4年近くたっても人口減少・経済成長に有効な対策を打てていない以上、本来は野党にチャンスがあるはずである。野党は与党が絶対に真似できないが、長期的に見れば国民の多数に利益をもたらす経済政策を提示することが必要であり、移民の受け入れをどうするのか、原発ゼロと再生可能エネルギー普及への道筋をどう考えているのかなどをもっと明確に打ち出すべきである。最大の支持団体である連合(特に旧同盟系)の反発を恐れて具体的なことを言えないようでは木を見て森を見ずであり、党内対立と労組依存の挙句に凋落したかつての日本社会党を思い出させる。

お先真っ暗のように思える民進党であるが、野党第一党再生のカギは旧民主党にあると筆者は考えている。1996年に誕生した新党「民主党」については、当初日本社会党から改称した社会民主党と新党さきがけ全体での新党移行が目指されていたが、これに初代代表(共同代表)となる鳩山由紀夫氏の弟であった故鳩山邦夫氏が反対したため、結局は実現をみなかった。しかし、後に社民・さきがけ両党の多くの国会議員が民主党(1998年以降のものも含めて)に移籍したことや、連合が中心支援政党を社民党および新進党から民主党に変更したことを考えれば、実質的には民主党が日本社会党の後継政党であると言えよう。「市民が主役の民主党」というコンセプトは中曽根康弘元首相から「ソフトクリームのようだ」と揶揄されながらも、民主党は20年間存続し、まがりなりにも政権を取ったのである。

それを考えれば、民進党のような合併方式ではなく、1996年に誕生した民主党のように、コンセプト主導で自主参加型の新党の方が上手くいくのではないかと筆者は考える。もともと「ソフトクリーム」のようなコンセプトの民主党が合併(分裂)を重ねて、政党としての立ち位置がさらに不明確になったのが今の民進党である。気が早い話であるが民進党の受け皿となるような新党を作るとしたら、「ソフトクリーム」のように掴みどころのないものではなく、強固なアイデンティティを持った政党でなければならない。少なくとも、社会民主主義(リベラル)政党なのか、憲法9条も含めて現行憲法の改正に対してどう考えるのか、原発ゼロへの道筋をどう考えるのかなどを明確にすべきであろう。

鈴木しんじ

鈴木しんじ武蔵野大学政治経済研究所客員研究員

投稿者プロフィール

1972年生まれ、東京都中野区出身。東京工業大学博士(理学)。
東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。専門は政治経済学、公共経済学。連絡先はs.suzuki@jag-japan.com

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