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不動産王トランプ氏は大統領になり得るのか

アメリカ大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の人気が続いている。6日、次期米大統領選挙のためのテレビ討論会が早くも開かれたが、ここでも注目されたのはトランプ氏。歯に衣着せぬ発言はここでも健在だったものの、討論会後には女性司会者を侮辱するような発言があったことから、支持者の低下が心配されていた。

ロイター通信などが討論会後に実施した世論調査によれば、共和党内におけるドナルド・トランプ氏(69)を支持すると答えたのは24%で、討論会前と同じ水準だった。しかし、2位のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)の支持率は17%から12%へ大幅に後退し、トランプ氏との差が広がった。今回の共和党討論会はFOXニュース主催で開かれ、全米で2400万人が試聴した。これは2008年にオバマ大統領(当時上院議員)とヒラリークリントン前国務長官(当時、同じ)が行った討論会の視聴者1070万人の2倍以上だ。

トランプ氏は討論会冒頭、党の支持を得られなかった場合に無所属で立候補する可能性がある候補であることを表明し、共和党員から大ブーイング。その後も相変わらずの主張を繰り返したほか、翌日のCNNテレビでは討論会の女性司会者について、月経を暗喩したとされる侮辱のような発言があり、翌日のアトランタ共和党集会への参加を拒否されていた。この件について9日にはトランプ氏自らがCNNの電話取材に答え、発言に侮辱の意味はなかったと釈明していた。

トランプ氏の放言が続くなか、なぜ支持率が一定水準を保っているのか、その答えは選挙戦における焦点が見つからないというのがひとつの要因だろう。次期米大統領選挙のためのテレビ討論会が開かれたとはいえ、本選挙は来年秋の実施予定。これから立候補表明もあり得る中で、注目材料が少ないことが挙げられる。共和党員の中では、親子で米大統領を務めたブッシュ家の後継者の存在も大きいが、前哨戦においてひときわ発言が目立つトランプ氏に注目が集まるのは致し方ないことだ。

しかし、このトランプ氏の人気が長く続くとは考えにくい。そもそもトランプ氏はビジネスにおいても政治においても放言が多く、その注目を自身の名誉としてきたいわゆる「炎上マーケティング」のプロだからだ。選挙戦序盤においては、まだ候補者が固まりきらず選挙の焦点となるトピックも決まっていない中で、センセーショナルな発言の多いトランプ氏をメディアがこぞって取り上げるのは当然のこと。現状ではヒラリー・クリントンにもジェブ・ブッシュにも満足していない一定の層が、一種のお祭り騒ぎとしてトランプ氏のお祭りに乗っかっているというのが正しい見方だろう。

 

大濱﨑 卓真

大濱﨑 卓真ジャッグジャパン株式会社 代表取締役社長

投稿者プロフィール

1988年生まれ、三鷹育ち。青山学院高等部卒業、青山学院大学中退。国会議員秘書、システム開発会社でのサラリーマンを経て、2010年独立。東日本大震災の際には、帰宅困難者向けに避難所を地図にした Google Maps「東京都内避難場所」を震災発生直後にリリースし話題に。現在は、選挙コンサルタント、自由報道協会記者という立場のほか、教育系会社取締役など、複数の法人役員を兼務している。

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