都知事選終盤、選挙コンサルが見る各候補の課題は
- 2016/7/24
- ニュース
今月17日に告示され、31日に投開票を迎える「東京都知事選挙」が、いよいよ終盤に突入する。主要3候補が課題を抱えた選挙戦となっているが、それらの課題と対策について分析をしてみた。
小池候補は、現時点で特定の政党から推薦を得ていないにも関わらず、「先出しじゃんけん」の強みを存分に生かした選挙を行っている。環境大臣を務めた「グリーン」をテーマカラーに持ち出したのは、ただ単に環境を訴えたいだけではなく、自民党のロゴでも使われている緑色を先に使う戦術もあった。ただ、自民党や公明党の政党所属議員や幹部の切り崩しは思った以上に進んでいないのが現状だ。都議会との対決姿勢を打ち出したやり方は、小泉純一郎元首相の「郵政解散」を彷彿とさせるものがあり、劇場型選挙を意識しているとみられるものの、都議会運営の具体的な方策は未だ明確ではないとの見方が多く、記者会見で述べていた「都議会解散」についての説明もまだ求められている。
増田候補は、自民党や公明党の支援を得て、組織の選挙となっている。元環境大臣・防衛大臣も務めた小池候補の出馬にも関わらず、都議会自民党や公明党を組織として戦うだけの忍耐力があるものの、支持者の中には小池氏に投票を表明している層も一定数いるとされており、この点が今後の戦い方の鍵になるだろう。また、無党派層に切り込めていないことも課題としてあげられるだろう。行政手腕としては、総務大臣のほか岩手県知事を務めるなど小池候補に勝るとも劣らないだけの経験があり、鳥越候補との差別化にも繋がるポイントではあるものの、この実績を十分に打ち出せておらず、逆に岩手県知事在任中の債務増大を指摘されるなど説明力が求められている。
鳥越候補は、街頭演説の場所が他候補と比較すると極端に少ないことが注目を浴びている。74歳と高齢であることに加え、記者会見の際の受け答えも不十分ではないかとの指摘を受けている。野党統一候補の強みや、ジャーナリストの経験を生かした「聴く」選挙を前面に出していることにより、2候補との差別化は図れているものの、それがメリットにもデメリットにもなり得る状況だ。さらに、週刊誌による女性問題がここで浮上してきた。鳥越候補の弁護を行うこととなった弘中弁護士が刑法違反(名誉棄損)と公職選挙法違反(選挙の自由妨害罪)の訴訟提起を発表するとしているが、このスクープには続報もあるとされており、終盤戦を前にして火消しも必要な状況だ。
このほか、都知事選挙に出ている候補者では、上杉隆候補がジャーナリストとしての経歴をアピールしつつ、都知事1期目の給与を受け取らないことを宣言して注目を集めている。ソーシャルメディアやインターネット番組を利用した選挙戦を展開し、ポスターの掲示責任者に堀江貴文氏を指名するなど特徴的な選挙戦を展開しているが、立候補表明が遅かったことと、主要3候補と比較すると十分とは言えない知名度の不足により、現時点で爆発的な支持を集めるには至っていない。また、元労働大臣の山口敏夫候補も出馬しており、大臣経験者としての実績や、政治とカネの問題で実刑判決となり収監された経験等から、東京都知事の政治とカネの問題に自負があるとされているが、具体的な政策が不足しているとの声のほか、75歳という年齢を心配する声もあがっている。
東京都知事選挙には、このほか、16名の候補も立候補している。
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