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[Q&A]選挙でよく見る自転車キャラバン隊って合法なの?

選挙期間中になると、選挙カーが街中を走り回る光景を目にすることになりますが、最近では「選挙カー」ならぬ「選挙自転車」を見ることも多くなりました。一般的には「自転車キャラバン隊」「自転車部隊」などと呼ばれていますが、これらの行為は法律に引っかかるのでしょうか。

公職選挙法では第140条に、下記の定めがあります。

第百四十条  何人も、選挙運動のため、自動車を連ね又は隊伍を組んで往来する等によつて気勢を張る行為をすることができない。

これに基づければ、選挙期間中に自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来する等による行為は禁止されていると見るべきです。ただし、ここでいう自動車には自転車は含まれないと解されていますから、その点は問題ないと考えられます。また、「隊伍を組んで」とある部分についても、「兵士の組織された集団。また、そのきちんと並んだ組・列。隊列。「―を組む」」(大辞泉)とありますから、この点において自転車を連ねて走り回る行為を即座に「隊伍を組んでいる」と判断するのには無理があると思われます。

ところで、自転車部隊が何をするかによっても、別の法律に抵触する可能性が出てきます。具体的には、

第百四十条の二  何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。

とある通り、連呼行為は「演説会場及び街頭演説」ないしは「選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合」と決まっています。後者は自転車上のために当然に認められず、前者については街頭演説は立ち止まって行うこととされていますから、これも自転車を使っての街頭演説はできず、結果的に自転車に乗って車上から「連呼行為」を行うことは認められないというべきでしょう。

また、積載物についても注意が必要です。自転車に積載する荷物についての規定は、主に都道府県の道路交通規則(道路交通法の下位法規と考えて差し支えありません)に定められていますが、例えば東京都であれば、次のような規制があります。

第10条 法第57条第2項の規定により、軽車両の運転者は、次に掲げる乗車人員又は積載物の重量等の制限をこえて乗車をさせ、又は積載をして運転してはならない。(以下、一部略)
(2) 積載物の重量の制限は、次のとおりとする。
ア 積載装置を備える自転車にあつては30キログラムを、リヤカーをけん引する場合におけるそのけん引されるリヤカーについては120キログラムを、それぞれこえないこと。
(3) 積載物の長さ、幅又は高さは、それぞれ次の長さ、幅又は高さをこえないこととする。
ア 長さ 自転車にあつてはその積載装置の長さに0.3メートルを、牛馬車及び大車にあつてはその乗車装置又は積載装置の長さに0.6メートルを、それぞれ加えたもの
イ 幅 積載装置又は乗車装置の幅に0.3メートルを加えたもの
ウ 高さ 牛馬車にあつては3メートルから、牛馬車以外の軽車両にあつては2メートルから、それぞれの積載をする場所の高さを減じたもの

すなわち、高さについては2m以内となっていますから、一般的なのぼりの高さ1.8mのものでは厳しく、かつ斜めにすれば「自転車にあつてはその積載装置の長さに0.3メートル」を超える可能性もあるので、注意が必要です。この点、のぼりのポールの長さを調整したり、のぼり旗のサイズそのものを小さくすることも検討しなければなりません。

このように自転車運転中(移動中)の方法について規制があるのみならず、のぼり旗についても一定の規制はありますが、その点さえカバーしていれば,自転車を利用した選挙運動が直ちに違法になると言うことはありません。なお、道路交通法における積載方法違反(積載装置以外への積載)に問われた場合(積載装置以外の場所に荷物を積載した場合で、運転操作が妨げられる、安定が害される、尾灯等が隠されるなど)は5万円以下の罰金となりますので、その点はさらに注意が必要です。

大濱﨑 卓真

大濱﨑 卓真ジャッグジャパン株式会社 代表取締役社長

投稿者プロフィール

1988年生まれ、三鷹育ち。青山学院高等部卒業、青山学院大学中退。国会議員秘書、システム開発会社でのサラリーマンを経て、2010年独立。東日本大震災の際には、帰宅困難者向けに避難所を地図にした Google Maps「東京都内避難場所」を震災発生直後にリリースし話題に。現在は、選挙コンサルタント、自由報道協会記者という立場のほか、教育系会社取締役など、複数の法人役員を兼務している。

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